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サービス業のこれからを支える「生産性」と「付加価値」の力。効率化を超えて広がる無限の可能性

日本のGDPの6割以上※を占めるサービス業。経済を支える主力産業である一方で、人口減少や高齢化が進む現代では、これまでの「省人化」「コストカット」に依存した効率化だけでは、持続可能な成長が難しくなっています。
※経済産業省「サービス産業×生産性研究会」報告書より

サービス業では、2030年にはサービス業で300万人※の労働力が不足するといわれています。サービス業の成長のためには「働く一人ひとりの生産性向上」「付加価値創出」が欠かせません。
※リクルートワークス研究所 未来予測2040より

HATALUCKは、人々のこころが満たされる社会を実現するをミッションに掲げ、テクノロジーとデータを活用して、サービス業で働く人の「はたらきがい」を増やしていくことを目指しています。今回は、サービス業の生産性向上と付加価値創出について考えてみたいと思います。

日本のサービス業が直面する課題

一般的に、経済成長するには、以下の3つの方法があると言われています。
1.人口を増やす
2.労働力人口を増やす
3.一人ひとりの能力を高める

しかし、人口減少や高齢化が進む日本では労働人口の増加は現実的ではありません。そのため、一人ひとりの能力を高めること、つまりは、「生産性向上」が注目されています。

生産性向上は「効率化」だけではない

生産性というと、無駄の削減やITによる効率化を思い浮かべる方も多いと思います。しかし、生産性とは、単なる効率化ではなく、「少ない労働力で、より高い価値を生み出す力」を意味するのです。

労働生産性の定義

この式からも、生産性向上には2つのアプローチがあります。
1.必要な労働時間や人数を削減する
2.サービスを通じて付加価値を高める

「日本の産業別生産性動向と経済の再生に向けた生産性向上(滝澤美帆教授)」の文献によると、生産性を向上するパターンは5つに分類されます。

・パターン①:付加価値は横ばい、労働時間を少し増やす
・パターン②:労働時間を増やし、付加価値をそれ以上に増やす(積極的)
・パターン③:労働時間を減らし、付加価値を増やす(理想的)
・パターン④:付加価値はそのまま、労働時間を減らす
・パターン⑤:付加価値と労働時間の両方が減少するが、労働時間の減少が上回る(消極的)

理想的なのはパターン③の「付加価値を増やしつつ労働時間を減らす」方法です。

参考:「日本の生産性の現状、サービス産業の生産性向上に向けた取り組み(滝澤美帆)」イノベーションを通じた生産性向上に関する研究会 財務省財務総合政策研究所 第1回会合

このように、生産性をあげるには、必要な人数や時間で労働力を減らすだけではなく、提供するサービスなどの「付加価値」をあげる方法もあるのです。

日本とアメリカの違い:縮小型vs拡大型?

OECD データによると、日本の労働生産性は、OECD加盟国38か国中30位と低く(労働生産性比較2023年、日本の一人当たり労働生産性)、サービス業での課題は顕著です。

飲食・宿泊業を例に、日本とアメリカを比較した労働生産性をみてみましょう。

以下のグラフは、労働生産性に影響する要因について、1997年と2010年の変化率を示しています。

出典:「日本の生産性の現状、サービス産業の生産性向上に向けた取り組み(滝澤美帆)」イノベーションを通じた生産性向上に関する研究会 財務省財務総合政策研究所 第1回会合

日本もアメリカも、①労働生産性の変化率は約1.1倍と同じレベル。しかし、アプローチ方法が異なるのです。

日本では、付加価値は減少傾向にあるものの、一人あたりの労働時間や従業員数、労働時間を大幅に減らすことで生産性を向上させています(パターン⑤)。
一方で、アメリカでは、総労働時間は増やしつつも、それ以上に付加価値を大幅に増加させることで、総労働時間を増やしています(パターン②)。

日本とアメリカの労働生産性(イメージ図)

また、以下のグラフは、1997年から2010年における、日本とアメリカの労働生産性変動を業界別に、分析したものです。縦軸に付加価値の変動分、横軸に総労働時間(または労働者数)の変動分を示しています。
宿泊・飲食だけでなく、卸売・小売、運輸といったサービス業においても日本では、総労働時間、付加価値の両方が減少しています。

出典:「日本の生産性の現状、サービス産業の生産性向上に向けた取り組み(滝澤美帆)」イノベーションを通じた生産性向上に関する研究会 財務省財務総合政策研究所 第1回会合

他のサービス業界の生産性を見てみても、日本では縮小型、アメリカでは拡大型のアプローチが取られているのです。

このような縮小型の方法では、適正な価格転換が難しくなり、企業が持続的な競争力を維持するのは困難です。これからの日本のサービス業が目指す方向は、付加価値を高めていく取り組みです。

付加価値をあげるには「働く人への投資」がカギ

サービス業で付加価値をあげるためには、「働く人」への投資がカギとなります。

具体的には以下の施策が考えられます。
・教育機会の創出
 サービス・接客・マネジメントスキルを学べる環境を整備
・働きやすい環境作り
 多様な価値観に対応した柔軟なシフト制度や効率的に業務フローの構築
・テクノロジーの活用
 業務を効率化を通じて、人にしかできない創造的な仕事に集中できる時間を確保
・エンゲージメントへの取り組み
 働きがいを感じ、長期的に活躍できる環境づくり

サービス業で働く人々が輝き続けるために

未来のサービス業を築く原動力は、働く人々の力です。一人ひとりが能力を発揮して「はたらきがい」を感じられること。このような環境づくりがより良いサービスの提供に、さらにはサービス業全体の発展につながります。そのために、HATALUCKは、職場DXアプリ「はたLuck」を通じて、サービス業で働く人々のパートナーであり続けます。

株式会社HataLuck and Personについて

株式会社HataLuck and Personは、人々のこころが満たされる社会を実現するをミッションに、AIを活用して「働きがい」を可視化・分析することで、サービス業の生産性とエンゲージメントを向上することを目指しています。サービス業のDXとエンゲージメント経営を支援する「はたLuckシリーズ」を開発・提供。店舗マネジメントツール「はたLuckアプリ」は、全国の飲食、ホテル、アミューズメント業界を中心に導入され、利用ID数は24万ID、導入店舗数は2万店を超えています(2024年11月時点)。

職場DXツール「はたLuckアプリ」について
職場DXツール「はたLuckアプリ」は、シフト・コミュニケーション・マニュアル・エンゲージメントの機能をオールインワンで搭載した業務専用のアプリです。職場で働くシフトワーカーのスマートフォンから利用可能で、シフト作成や情報伝達など職場運営に必要な業務を効率化できます。また、アプリのログとサーベイ機能を使ったデータ分析により、職場状態の可視化から改善施策の提案もできるので、職場改善に活用できます。


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