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「花壇を無理くり畑にしてみた話<前編>」新規就農への記録・その3
<はたけごっこのはじまり>
前回からの続きです。
7年前に異動した学校では、小学部へ。小さなかわいい小学生の担当です。
その頃は、「ああ、畑、いいかも。」「仕事しながら、畑もできたら、なんか楽しいなぁ」とか思い始めていたので、高等部だったらいいなぁ、と正直思いながら、その年度末の3月末、職員説明会で異動先の学校へ。
受付へ行くと、そこには、昔お世話になった先生が、こっちこっちと手招きしている(笑)。「久しぶり〜。小学部ね〜♪」
おぉ…。じゃあ、小学部は作業学習ないから、畑はしばらく無理だなぁ、でも、この人が主事なら、なんか面白いことやっても許されるかも(笑)、…と思ったことを思い出します。
そして、実際に、その後やれる範囲での「畑ごっこ」がスタートします。
まずは、小さな花壇が希望制で(数が限られている)配当になるので、まずは手を挙げる、と。そんなに、土いじりたい!という職員は、少ない。やらねばならない、という、枠もないので、競争率は低いので、第一段階クリア!
<ひまわり、大きくな~れ!>
次に、何を作るか、ということになりますが、そこは割と自由。小学校だと、何年生はさつまいも、何年生はじゃがいもだ、大根だー、と学校として決まってたりしますが、その時の学校はその辺は割と自由。なので、ワクワクするわけですよ(笑)。
で、小学3年生だったので、いきなり野菜はむつかしいかなぁ、楽しめて興味持ってもらえそうなのは…あ、ひまわりだ!すごくでかく育ったら、子どもたち喜ぶだろうなぁ〜。忍者のトレーニングじゃないけど、わかりやすくぐんぐん伸びて、最後は子どもたちの背丈よりでかくなるなぁ〜。背比べしたら楽しいなぁ!!
そして…、でかくなりました(笑)。はい。最初のひまわりは軽く2メートルを超えて、2メートル半くらいまでいったかな。もちろん、子どもたちも大喜び!でも、片づけが大変でした(笑)。ひまわりの茎は、簡単には枯れない。朽ちない。大きいと、茎が太い(笑)。
農家さんだと「ハンマーナイフモア」みたいな、草等を切り刻んで漉き込んじゃうみたいな機械があるので一瞬ですが、うちらはない。で、どうするかと言うと、ノコギリで8月の炎天下、切る(笑)。
でも、それもまた放課後とか、夏休みの出勤の日とかに、若い先生たちと一緒にキャーキャー言いながら切るのも、楽しいんで、まぁ良しですが(笑)。
<種を採るまでがお勉強>
で、もちろんお勉強なので、種採りもします。種は採れたのですが、それを次の年植えるのだけど、大きくならない。??何故?
その時は種の種類として、F1種というものが存在することを知らなかったのです。種には、F1種と在来種とか固定種というものがあります。ホームセンターとかで売ってる種は、F1種が多いです。というか、ほとんどかな。
学校近くの畑でおおきなひまわりを道路端にいくつか植えてる方がいて。
ある日おじさんに聞いてみると、
「そりゃホームセンターで売ってるような種は、1回きりでおしまいだ。最初の一年目は、元気に大きくなる。もともとそういう種なんだよ。
うちのは、ここで代々種採りしてるひまわりだからね。毎年毎年この大きさになるんだ。」
なるほど。だから毎年、少しずつ細く、小さくなるんだ…。
いわゆる、在来種ということなのでしょう。そんなことも、教わりました。
<子どもたちは、何をしても楽しめる!>
まあ、そういうわけで、ひまわりは個人的に好きだったし、子どもは大体<一番!>とか、<ビック!>が大好き(笑)。なので、ひまわりは最適!
ただ、採った種を子どもたちに持たせて、「庭に蒔いてみたらどうでしょう?」と親御さんたちに話したら、「ちょっと先生~、庭に植えたんだけどさ、ほんとでかすぎるんだけど(笑)」と後から苦笑いされたり(笑)。
でも、正直、植えるものはなんだってよかったんです。要は、畑で子どもたちと楽しく過ごせればOK。実際、授業をするときも、最初は子どもたちも「お仕事だね~」とか言ってますが、大体は後半遊びだします(笑)。それを見てるのも、また楽しい。教師って、いいなあと思う瞬間ですね。
その時の様子は、一輪車、スコップ、虫…。遊ぶと働くがいい意味でごちゃ混ぜになってる感じ。そこでうまく畑と触れ合えれば、大きくなったとき、「暑いよー!」と怒ったり(笑)、「虫やだー!」とかあんまり言わなかったりする気がします。
原体験って、大事な気がする。別にみんながみんな、最終的に農業やらなくてもいいんです。でも、小さい時に関わることで農業に関心をもってくれる人口が増える気がします。
生きていくためには食べなきゃいけない。食べるためには、作らなきゃいけない。よその国から買えばいい、と思っても、仲が悪くなったり、その国も不作だったりして、売ってもらえない日がきっと来る。その時のこと、もっと考えていいのでは、と思うのでした。
…なんか長くなってきました(笑)。
花壇を畑にする話は、次回、後編で(笑)。