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★都市農業ビジネスモデル まとめ ~ビジネスモデルとは何か~

畑会の山田です!

今まで都市農業のビジネスモデルについて言及してきました。5つあるうちの4つのモデルと、それ以外のビジネスモデルの可能性に言及してきました。
今回は、おさらいも兼ねて話をまとめてみたいと思います。
 
そもそもビジネスモデルの意味の確認ですが、ウィキペディアで引いてみると・・
「利益を生み出す製品やサービスに関する事業戦略と収益構造」とあります。
もっとひらたく言えば、「利益を生み出す戦略と構造」ともいえます。
私の今までの説明でいうと、どちらかといえば収益構造をメインに話してきました。
戦略についての話はまた改めまして。

各ビジネスモデルの比較

では、今まで話したビジネスモデルを一般的な都市農業の営農モデルを比較した収益構造を見てみたいと思います。
画像の表をご覧ください。

ビジネスモデル比較

ここでは、売上を単価、数量、頻度の3つに分け、経費を4つの種類に分けました。
表は、売上と経費の項目をビジネスモデルごとに一般的な営農の売上、経費と対比していることを示します。
細かな説明は省きますが、過去のそれぞれの投稿を見れば収益構造が、ある程度分かると思います。
各ビジネスモデルによって、収益構造をそれぞれ違いますが、最終的に共通しているのは、利益率が一般的な営農モデルに比べ上がるということです。
当たり前といえば当たり前なのですが、この収益構造を分からず事業を行っていくと、なぜ利益率が上がらなくなるのかが分からなくなっていき、「骨折り損のくたびれ儲け」になってしまいます。ただでさえ、農業はその傾向があるので、定期的に数字の検証が必要になります。
その点については、次回以降のカテゴリーのテーマとなる#数字による経営分析 で話をしていきたいと思います。

ビジネスモデルの構築は時間とコストとリスクが必要

次にビジネスモデルの共通点としては、表に示したとおりの利益を上げるためには、時間とコストとリスクを要するということです。それらは、人や立場、環境、目的によって変化します。
時間は、半年後かもしれませんし、3年後かもしれないし、5年後、はたまたそれ以上かもしれません。また、初期投資による資金や人件費としてのコスト、また安定するまでは、先が見通せないリスクが発生していきます。

とある農家の人が、儲かっている人のやり方を真似されていて「儲かると思ってみたけど全然ダメだね」という話を聞いたことがありました。
ただ、その話をよく聞くと、半年そこらで、しかも表面的なことだけを真似した状態で、結論を出しているような状態でした。
それでは、ビジネスモデルが適切であったかどうかは検証できません。
どこまで続けるのか、どの基準で撤収するのか、どの条件やタイミングで方向転換するかなども、これもまた数字や市場の流れを見ながら判断することになります。
「なんとなくやってみたけど、なんかダメだったから止めた」では、科学的な経営ではなく、感情的な経営に堕してしまいます。
もちろん、経営においては、運による要素も多くあります。時代の流れ、ニーズに合えば、小さな努力で大きな成果を上げることもできれば、逆もまた真だと思います。

では、ビジネスモデル構築は、時間、コスト、リスクを抱えてしまうため、ギャンブルのようなものなのでしょうか。
誤解をしていただきたくないのは、ビジネスモデルの構築は、一か八かのギャンブルではなく、成功する確率をすこしずつ高めながら安定した収益性を目指すアプローチ方法です。
一つのモデルを目指すために、いくつかの失敗事例などを集め、行動をより最適化することにあります。エジソンの名言の一つ「失敗ではない。うまくいかない1万通りの方法を発見したのだ」ということと同じような考え方です。
ただ、大事になっていくのは失敗を成功に結びつけるための糧にできるかどうかです。
どういったビジネスモデルを構築するかという前提の考えなしに、日々失敗をし続けるだけでは、なんの検証も反省もないまま、再び同じ失敗をしてしまいます。
そのため、自分自身が目的、目標を持ち、どういったアプローチで具体的な数値まで落とし込み、実際の現実を結果と比較して、どうすべきかを逐次、判断することが可能になります。
絶対、成功できる保証はありませんが、何の方向性もビジネスモデルの前提もないまま、その日暮らしの経営を行うよりも、ビジネスモデルを構築していくほうが、はるかに成功確率が高くなるのは明らかです。

どのビジネスモデルを目指すかは、農家によって全く異なる

今までの話と逆説的に聞こえるかもしれませんが、今まで私が提案したビジネスモデルを実施しなくてもいいとも思っています。
それは、農家さんによっての前提が違うからです。
これは#ビジネスモデルと経営戦略のカテゴリーの話で最初に話したことでもあります。↓↓↓↓

「都市農業の目的と収益性を両立させるためには」https://note.com/tab_lab/n/n24195b44e660

ビジネスモデルは事業者の価値観や環境に大きく左右されます。
最近は、農地を持つ農家さんとも多くお話をしていますが、農業収入よりも圧倒的に不動産収入が多い農家さんが、想像以上に多いことを知りました。
そういった農家さんは、相続税が支払える状態か、また農地を売る前提であれば、稼ぐことに執着する必要はないかなと思います。
またライフスタイルを最重要にしたい場合もあります。自分のペースで自給自足のような生活を目指すなどです。ある知り合い農家さんは、いかにお金を使わない生活ができるかを山奥で探求している人もいます。
また環境によってもやり方は変わります。都内側なのか、山村側なのか、揃っている設備や機械があるかどうか、どういった人材のネットワークがいるか、などでも形が変わります。
性格によるものもあります。人との関わりが好きな人はサービスを重視したビジネスモデルがよいでしょうし、もっと農作物を極めたいのであれば、販売や売れる仕組みを委託して高値で買ってもらえるようなビジネスモデルにしたほうがよいでしょう。
 
何が言いたいかといいますと、それぞれの農業のあり方に一緒のものはなく、優劣をつける必要はないということです。
「農家さんあるある」の一つに、やたら他の農家さんと比較して、自分のところがいかに優れているか豪語する人がいます。そもそも置かれている前提や目的が違うため比べることはナンセンスだと思っています。農家さん同士の必要のない対立によって、それぞれの農家さんが無駄に労力を費やしていることを私は、よく思いません。
考えるのは、自分が設定した目標と現実のギャップを埋めることだけで、他の農家と相対的に比較する必要はないと考えます。もちろん、違いによって、刺激を受けたり影響を受けたりすることは、良いとは思います。ですが他者を批判することは、やはり建設的ではありません。これは誰しもあることなので、自戒を込めて言わせていただきました。

ただ、純粋にいかに収益をあげるかを考えているのであれば、今回まで私が提示したビジネスモデルを参考にしていただければと思います。
もちろん、まったく同じものは一つもなく、農家さんによって特性や個性が入り混じったビジネスモデルとなると思います。
もし悩まれていましたら、私の方で、無料で相談に乗りますので、ぜひお声掛けください^^

以上が、今回のビジネスモデルのついてのまとめでした。
何度か言っていますが、5番目のビジネスモデルである「複合コミュニティ型」については、また別の機会に時間をかけてお話をしたいと思います。

今回のカテゴリーである#ビジネスモデルと経営戦略のカテゴリーの話は、一旦終了です。
次回からは、#数字による経営分析についてお話をしていきます。
苦手意識のある方も多い、数字についてですが、分かればとても面白い分野ですので、ぜひ根気よく読んでみてください。もちろん、わたしもより分かりやすく書いていきたいと思います!

【自己紹介】
非農家でありながら、東京の八王子で農業系サービス事業を展開。
専門分野は都市農業の経営、都市部での小さな農、コミュニティ農業、農のある生活、キャリア視点から見る農などで幅広く農業を語っています。

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東京八王子を中心に現場での農業体験も行っています。

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