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中古車の自動販売機が増加中
こんにちは コーイチです。 中古車の自動販売機が増加しているって本当なのでしょうか? カーバナ(Carvana)というアメリカの中古車販売会社の店舗が増加しているらしいです。(全米で現在24店舗)
カーバナは、2012年にアリゾナ州で創業したIT系ベンチャー企業で、2017年に株式公開(IPO)を果たし、収益は右肩上がりのようです。 今でこそネット上でクルマを売買するサービスは珍しくありませんが、カーバナ社こそが世界で初めてクルマのECを初めた会社だったと言われています。
今回は、カーバナの特徴やその他の中古車販売事例を見るとともに、これからの中古車販売店について考えていきたいと思います。
カーバナ(Carvana)とは
アメリカは自動車大国ですが、実際の販売方法は旧態依然としていました。
販売員は歩合給が多く、値引きに関しても個々人の裁量に任されているため、得てして販売交渉はタフなものとなっています。
中古車市場では、その傾向がさらに顕著となっているとのことです。
そんな中、ビジュアルとテクノロジーの力で業界に新しい風をふかせようとしたのがカーバナとなります。
カーバナはもともとオンラインで中古車を販売し、全米の顧客の自宅まで届けるというサービスをメインに行っていました。
設立からすぐに、試験的に実店舗を開設し、顧客が自分で購入車を受け取りに来たり、その場で販売員を介さずにクルマを購入できるようにしました。
2015年になって、現在のシンボル的存在でもあるガラス張りの全自動駐車場を備えた実店舗を設置し始め、自販機感覚で中古車を購入できるシステムを作り上げました。
VRコンテンツ
オンラインショッピングでは、実車を見ず、試乗もせずに購入を決断しなくてはならないという点が、特に中古車の世界では顧客が不安を感じる部分といえます。
そこでカーバナは、その問題を解消することに真摯に取り組みました。
2018年、自動車販売向け360度写真ツール等の開発を行うCar360社を買収し、Car360社の技術で製品の360度コンテンツをモバイル向けに配信、より没入感のある体験を顧客に届けるように開発を進めました。
同社は、特許技術の専用VR撮影ブースを持ち、販売するすべての車両のエクステリアとインテリアの高解像度VR撮影を行っています。
これらのイメージをWebページ上で自由に回転させたり、ディテールを拡大して見られるようにすることで、顧客が自分の目で確かめた感覚が得られるようにしました。
販売される車両は、すべて実車のエクステリアとインテリアをVR撮影して、細かなところまでチェックできるように工夫されています。
もちろん、オンラインのセールスサイト全般のビジュアルデザインやユーザー体験にもこだわり、購入を決断するまでのストレスを出来る限り少なくし、それら一連の体験が楽しいものに感じられることを最優先に考えられています。
ローンシミュレーターなどの操作画面も、単に数字を打ち込むと結果が表示されるような味気ないものではなく、メーター類を模したインターフェースによって、楽しく操作ができるように配慮されています。
また、明細の表示も明確で、顧客を迷わせないことを重視している設計となっています。
購入の場合、必要書類をアップロードした後、与信審査はわずか2分程度で済むということです。
購入したクルマは自宅への配送という納車方法か、まるで自販機のような立体駐車場から自ら取り出すことも可能となっています。
何か助けが必要な際はスタッフに連絡できますが、必要がない場合は誰とも話す必要はありません。
クルマを買う人にとって、販売員と顔を合わせなくて良いというのは最大の魅力と感じる方もいると思います。
それで本当に無事にクルマを受け取ることができるのか?という不安を解消するために、オンラインサービスによるサポートも充実させています。
中古車の自動販売機
(出典:Carvanaサイトより)
全米で十数カ所ある実店舗は、8階建て程度(*地域により階数は高さ制限や容積率の影響で違う)の建物の外観はスタイリッシュなガラス張りで、収納スペースは合計30台、入庫と出庫に使われる自動搬送機を4基設置している象徴的な建物があります。
これが「The Carvana Car Vending Machine」と呼ばれるものとなります。
一般的にイメージする「自動販売機」のように陳列されている商品の中から欲しいものを選んで購入するのではなく、購入する車種選定などのステップや手続きはオンライン上で済ませ、納車をこの自動販売機を通じて行うという感覚となります。
専用端末に大きな特製コインを入れると起動し、あらかじめ顧客がオンラインで選択しておいた中古車が、ガラス張りの駐車場内のベルトコンベヤーシステムによって移動し始めます。
指定されたクルマは、駐車場中央のエレベーターによって地上レベルまで降ろされ、さらにフロア面の搬送システムによって、正面ドアのところまで運ばれてきます。
その出てきたクルマに乗って、そのまま自宅へと持ち帰ることになります。
もちろん、事前にオンラインで支払い条件などを決めて契約を済ましているから、このような受け渡し方法を採れるわけですが、サービスの新しさや簡便さを視覚的にアピールすることの重要さを真剣に考えたからこそ、ここまでの投資が出来たのではと思えます。
*日本で同様の物を作るとタワー部のみで、数億円はかかると思われます。 高級車など利益率が高く、都心くらいでしか日本では難しいでしょうね。
ノンプレッシャー
このように一切販売員と顔を合わせずに購入が出来るので、全くプレッシャーがないこととなります。
尚、試乗の場合は実店舗に行き、販売員から鍵をもらい、同乗することなく一人で試乗してもらうことも可能です。
アメリカの某調査によると、クルマの購入者は試乗する時間は切望していますが、強引な販売員との時間を求めてはいないということです。
また、調査回答者の10人に6人は、販売店のスタッフの助けを借りたいが販売員とは取引をしたくないと答えました。
2020年春に実施されたグーグルが行った調査によると、消費者は自宅で実施する試乗することを、お店に足を運ぶことに変わる最高の選択肢に挙げているという結果があります。
尚、購入車を受け取ってから1週間は無条件で返却ができ、払い戻しを受けられるというクーリングオフ制度を利用し、実質最初の7日間が試乗期間となるシステムを採用することで、実際の試乗の代わりとなることで、顧客の評価も上々ということです。
また、カーバナ社は中古車の買い取りも行っており、ガーディアン・エンジェルスをもじった「カーディアン・エンジェル」という名前の車買取査定サイトを運営しています。
車を売りたいユーザーが車両情報入力すると、カーバナ社独自のアルゴリズムによって2分以内に査定結果が表示されとともに、査定価格の根拠を正確に伝えるビデオメッセージも送られてくるようです。
その他の事例- Taobao「Tmall」
中国の大手インターネット通販会社アリババグループは、2017年12月7日に中国国内における電気自動車のオンライン販売をフォードと共同で行う提携を締結。その後、自動車専用の自動販売機の設置を明らかにしました。
ユーザーはアリババのショッピングアプリ「Taobao」で試乗してみたい自動車を検索します。または、街中で走行している自動車をスキャンして、そのデータを元に自動車を指定することも可能です。
ユーザー情報、顔写真を「Taobao」に送信。そのまま自動販売機に行けば、ユーザー認証が行われ、データが照合されると「Taobao」で指定した自動車が自動販売機から出庫される仕組みになっています。
試乗期間は3日間で、気に入ればそのまま購入することが可能です。
気に入らなければ別の自動車に試乗することもできますが、車種ごとの試乗は一度までで、2か月間に5車種まで試乗できるということです。
店舗は、管理者が常駐するものの、接客スタッフは存在せず、まさに自動販売機のようです。
2018年12月13日、アリババの「Tmall」が運営する自動車の自動販売機第1位号店が上海に登場しました。
わずか75秒で、ボルボXC60、288台がすべて売れるという好調ぶりだったということです。
アリババの「Tmall」は、自動車の自動販売機を中国各地に出店する計画を発表、常時数十のメーカーの自動車を扱うようです。
(出典:Alibaba Group Youtubeより)
その他の事例- Autobahn Motors
シンガポール高級中古車販売会社のAutobahn Motorsは2017年5月頃に15階建ての今までにない革新的なショールームをオープンさせました。
コンセプトはなんと高級車専用の「自動販売機」ということです。
この自販機ビルにはフェラーリ、ポルシェ、ベントレーといったスーパーカーやラグジュアリーカーが60台格納されています。
車の購入方法は、購入希望者がAutobahn Motorsを訪れ、タブレットデバイスの専用アプリで購入手続きを済ませ、支払いが確認されれば2分後に自動車が手元に届くということです。
(出典:SENATUS Youtubeより)
最後に
消費者側の変化を見ると、中古車購入におけるオンラインでの活動が目立つようになっています。
97%の消費者は、オンラインで中古車の情報を調べているといいます。
販売店を訪れる前に、購入するクルマを事前にオンラインで決めている消費者も多く、中古車ディーラーはオンラインでの情報提供を強化すると同時に、オフラインで提供するべき価値を見直す時期に来ていると言えます。
トヨタもオンラインでの中古車販売を強化することになりました。 (現在は一部地域のみ)
しかし納車に関しては、実店舗に行く必要性があり、それだったら、実車を見てから購入したいのではと思ってしまいます。
また、「楽天CAR」も2020年に出来ましたが、オンラインで購入、自宅へ納品するという、かなり近いものではあるものの、購入時の驚きや感動があるようなものではないようです。
これらの事例を見ていると、従来通りの販売を続けていても、デジタル時代の消費者を満足させることはできない時代になってきたのかと思います。
今後、デジタルを利用した新しくユニークな買い方が出来る中古車販売店の登場が望まれているように思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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