実家というところ。
実家から帰る前の日は、胸がキュッとなる。
いつからだろう、そんなふうになってしまったのは。
いつだって、実家では娘だ。幾つになっても、結婚しても、そしてこれから母親になったとしても、実家では娘のままだろう。
恋愛みたいな強い感情ではないけれど、絶対に裏切られない、何があっても味方でいてくれる。なんでだろうと考えてしまうけれど、それは親だから、が全てであると言われてしまう。
昔は、それが当たり前でない、ということに気づくことはなかった。社会に出て、実家を出て、厳しい環境をたくさん経験したからこそ、それが当たり前でないと気づいてしまった。そして、それには終わりがあることにも、うすうす気がつき始めている。
だが、私はまだそこには真っ直ぐ向き合えない。それがずっと続くかのように、普通の1日として、娘として甘えて過ごして、またねと言って惜しみもせずに出ていく。また来るから、まだあるから。
だけど、やっぱり帰る前の日の夜は、胸がキュッとなる。
わたしはそれに気づいているけど、気づかないふりをして、翌朝またね、って出ていくのだ。
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