コンビニよりも多い店
美容院の数は、コンビニよりも多いらしい。
本当かなと疑う気持ちもあるが、たしかにどこに住んでいても徒歩圏内にいくつも美容院はある。
徒歩圏内のその美容室は、入ってみると、外から見るより広く、心地よい風が通るような空間だった。おしゃれだけど、気取りすぎない。
おしゃれすぎる美容院は、疲れる。美容師さんも来ている人もバッチリメイクだったり、10種類くらいハーブティーが選べたり、寝癖ボサボサのノーメイクでは来られないところだと、なんとなく居心地の悪さを感じてしまう。
だからといって、庶民的すぎる空気感だと気分は上がらない。美容院は気分を変える、特別な空間であってほしいのだ。
そんなわがままな私は、行きつけはつくらず毎回新規のお客さま。今回はイマイチ緊張しちゃったなと思っても、今回限りだからまあいいか、になる。
今回は緊張しなくて済むかなと思ったその美容院、美容師さんもよかった。落ち着いて、どことなく飄々としていて、なにより私ではなくしっかり髪と向き合ってくれた。いつも美容院に行くと、染めたい・切りたい、以外はお任せだが、髪の状態を見て、そのためにはこうがいい、を押し付けがましくなく提案してくれる。そして、口下手に見えておしゃべりで楽しませてくれた。普段あまり美容師の方とうまくしゃべれないわたしもついついお話ししてしまった。
そして、なによりシャンプー後のマッサージのレベルが高すぎる。寝転んだ時しか現れないらしい首裏のコリを丁寧にほぐしてもらったあとは、もう仕上がりなんてどうでも良くなっていた。
リラックスしておしゃべりを楽しんで、コリまでいなくなったわたしは、いったい何をしに来たんだっけ?と思いつつ、その美容室を後にした。
わたしの行きつけが、はじめて出来てしまった。
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