今は街を歩いても虚しくない。
自分のことで申し訳ありません。50を過ぎて少しは成長したかなと思ったことがあったので、文章にまとめてみようとパソコンの前に座りました。
僕は20代前半のころ、東京の築地(正確には新富町)で約1年ほど仕事をしていたことがあります。
働いていた会社のオフィスは便利な場所にあり、少し足を伸ばせばすぐ「銀座」です。
しかし、当時は「安月給」(今も変わりはありません)でした。会社帰りにあてもなく、夕暮れどきの街をぶらついてもなにか虚しい。
煌びやかなネオン輝く街には、楽しそうに笑顔で歩く多くの人たち。その中にお金もない「千葉の兄ちゃん」がひとりでポツンといるようで途方もない孤独感がありました。
俺はなんでこんなに恵まれないんだ、クソつまんねー仕事を毎日しなきゃならないんだと、道ゆく人を睨みつけながら眺めていたように記憶しております。
当時の僕はかなり歪んだ考えの持ち主でした。そして、その後もその歪んだ考えを持ち続け。
仕事では嫌なことがあるとすぐ逃げる。強い人を極端に怖がる。弱そうな人には上から目線。酒を飲んではからみ酒。本当にひどい人間でした。
会社の同僚からも後ろ指を刺されたり、そんなことが聞こえてくると、腹を立てて激昂したり。そして怒りをぶつける人や場所がなくなると、落ち込んで心を病んだ経験が何度かあります。
いま振り返ってみると、よくぞここまで社会人としてやってこれたと思います。
けどよく考えてみれば、ただ僕は子宝に恵まれなかっただけで、雨風をしのげる家もあり、明日の食事に困ってもなく、着るものもある。充分すぎるくらいの生活ができています。
実は先週末、用事があって東京に出かけ、帰りの電車まで少し時間が空きました。さてどうしようかと入った、駅ビルのエスカレーター横の休憩スペースから、東京の街ゆく人を眺めていたときに、そんな若いころ感じたことを思い出したのです。
それは土曜日の夕暮れどき。
僕の目線の先には、買いモノ帰りであろう大きな紙袋を下げてる人、仕事終わりで家へと帰る人、友達同士でこれから夜の街へと繰り出す人たちが多くいました。
僕は給料日前でお小遣いも残り少なく、用事が終わって真っ直ぐ帰ろうとしていたのですが、その時は不思議と若いころの「あの虚しさ」が微塵にも湧きませんでした。
そして、僕は人と自分を比べなくなったなと。少しは「マシな人間」になったのかなーと感じたのでした。
10年前にお酒をやめたのも「よかった」ですね。その話はいずれまた。
ここまで読んでいただきありがとうこざいます。
それでは。