ふたご座流星群の夜に
昨夜そして今夜、ふたご座流星群が見れるという。
昨晩、眠れない夜を過ごしていた私は散歩がてら外に出た。キンと冷えた空気。風が強く体感気温は0度くらいだったのではないだろうか。これ以上ないくらいに防寒をする。お腹にはホッカイロを貼って準備万端だ。
近所をぶらつく。歩いてみる。深夜、誰もいない橋を渡りながら空を見上げる。オリオン座が輝いている。その頃にはすっかりふたご座流星群の夜だということは忘れていた。すると突然、ビルの影から輝くものが。何事か。一瞬分からず呆然としてしまった。あれはもしかして!
この都会で、大都会で、煌々と街灯が灯る中で。私は流星を見たらしい。
流れ星に3度お願いすると願いが叶うという。流れ星など一瞬のことで3度など祈れない。流れてしまった後に、ふと、思い出した。遠い時代のこと。
以前、いつの季節だったか二人で流れ星を見上げた夜。彼の方角では流れなかった。私が眺めた方角に流れた。私はそっと祈った。
「彼と一緒にいれますように、彼と、一緒にいられますように、彼と一緒にいられますように」
何をお願いしたの?とその人は聞く。
「教えてくれたら僕が叶えること出来るかもしれないよ」
そう、あなたと一緒にいることを願ったの。あなたのそういうところが好きなの。けれどそんなこと恥ずかしくて言えっこない。ただ夢中だった。夢中で一所懸命に全力投球で恋していた。
ふたご座流星群の夜。私はそんな時代のことを思い出した。
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