私の、今の、悩み
紙媒体は売れない時代、と聞く。
書店もどんどん閉店に追い込まれ、私が気に入って通っていた銀座のブックファーストも数年前に閉店してしまった。近くにはGINSA SIXの蔦屋書店もあるし、有楽町には三省堂もある。少し足を伸ばして丸の内や日本橋には丸善、八重洲のブックセンターもあるけれど、私のお気に入りは銀座のブックファーストだった。そういえば、有楽町のマルイにもブックファーストが入っていた。もうすでに、懐かしい存在になってしまっているけれど。
紙媒体が売れないからと言って、誰もが本を雑誌を読んでいない、とうわけではないだろう。キンドルなどの電子書籍を利用する人が増えた。私はまだ利用したことはないけれど、私の友人も、通勤中に、手軽さを理由に利用しているらしい。
私自身は、楽天マガジンを購買している。多くの雑誌が月会費を払えば読み放題、というサービスだ。購買していてもマメな読者というわけではない。ふとしたとき、時間がある時には見ている。そう、つまり、私自身も雑誌を買わなくなってしまった。書籍は好きだから買うけれど、けれどそれも楽天ブックスを利用することが多い。書店で欲しい本を探し、楽天ブックスで、つまり楽天ポイントを使って書籍を買うというわけだ。
さて。雑誌に魅力を感じなくなったわけではないけれど、多くの雑誌が月一回の発刊なので、情報が古い。私が主に読む女性誌は、季節のメイクや、ファッションについての特集が組まれる。もちろん一部の情報は有効的だけれど、季節を意識した情報については、先月号は最新のものではなくなっている。
最新の情報が欲しいなら、直接的にインフルエンサーと呼ばれる人たちが発信するインスタグラムやツイッターの方が早い。今はLipsなどのアプリもあるし。いつでもどこでも、リアルタイムで、しかも無料で手軽に最新の情報が手に入る。YouTubeを利用する人もいるだろう。ここ数年、YouTuberと言われる職業まで出来た。彼らは最新の情報や専門的な情報を、マメに、しかも言葉と動画で発信し、たくさんのファンを作っている。ヒトは情報を得る時、視覚情報がメインだから、YouTubeなどは届きやすいのだろう。効果効率的なのだろう。
YouTubeはもちろん私も利用している。今まで知らなかった世界の情報が簡単に手に入るし、それを利用して、自身の世界も広がる。車の改造だったり、魚のさばき方。インドの情報を発信しているヒトや、英会話講座を開いているヒトもいる。これは確かに、本当に面白い。知らなかった情報、今までの自分の生活や環境では手に入らなかった情報が手に入る。最近、葉巻を始めたけれど、吸い方すら分からない私は、検索してしまったもの。火の付け方、マナー、エレガントに見える持ち方などなど。
YouTuberについて言えば、今、小学生のなりたい職業にYouTuberが上位に入っているそうだから、これは面白い。芸能人と一般人のあいだの存在、というところだろうか。身近な存在になっている証拠だろう。YouTuberになるための講座も開かれていると聞く。誰もが簡単に、情報を発信出来る立場になった。それ自体はいいことだと思うし、多くの人に、世界を切り拓くチャンスが訪れたことだと思う。けれど。
けれど、私は最近、疲弊している。手軽に、身近に、多くの情報が手に入ることに。その分、いらない、特に興味のない情報まで流れて来るから、それに疲れている。押し寄せて来るそれらに、流されそうになっている。キャパオーバーと言えばいいだろうか。それを知人に話したところ、距離を持った方がいいとアドバイスされた。その人はツイッターをやらないという。そうだね、そうやって取捨選択することが必要かもしれない。
情報の波に、流されそう。押しつぶされそう。しかもそれにより、自分で考えることが少なくなっているような気がする。どうだろう、それは私だけだろうか。あの人がこう言ったから、と、それを信じ、鵜呑みにし、自分の脳を使うことが減ったのではないだろうか。
何でも自由に、便利に、簡単に手に入る時代だからこそ、本当に必要なものを選んで生きていきたい。それには、選ぶ力を養わなくてはならないだろう。簡単に言うと、自分に責任を持つということだろうか。
私が気になって仕方ないのは、特に、発信された美容情報について。美容家、アーティストと言われる人によって言っていることが違うことがある。何が正しい?混乱してしまう。だから、本当の情報を求めていろいろ見てしまうけれど、情報量が多すぎて、そこで疲弊してしまうのだよな。iPhoneの画面を見ると息苦しかったり、まるで車酔いのようになったりする。気持ちが悪い。
結論のない話だけれど、そうね、雑誌が飛ぶように売れた時代くらいの方が、私に合っているのかも知れない。情報を選ぶことが出来る自由。必要なものを選ぶことが出来る自由。それも自分のペースで。
自分を強く持っていきたい。それが今の、私の悩み。