3cm、6.5cm、9cm、12cm
靴は何足あってもいい。靴の数だけドラマが待っている。
ヒールは細ければ細いほど、高ければ高いほどいい。気分を上げてくれる。
正面からも横顔も美しい。後ろから見た時のヒールのくびれもたまらない。ウエストラインのくびれ、はたまたアキレス腱のようにキュと引き締まったシルエット。
ぺたんこにレインブーツ、オックスフォード、Tストラップ、パンプス、ハイヒール、プラットフォームにオープントゥ、ローファー、サンダル、メリージェーンにサイドゴア、ニーハイ、サイハイ、ミュールにエスパドリーユ。そしてスニーカー。まるで呪文のよう。それは欲望の数だけ存在する。
そう、靴は何足あってもいい。一体いくら注ぎ込んだか。小さい車が買えるくらいは情熱を注いだだろう。ちなみに私の知り合いにシガー好きがいて、換算すると、彼は年間80万円に火をつけていたらしい。あぁ、恐ろしい話。
いい靴は幸せなところへ連れて行ってくれると言う。いい靴を履くと佇まいが変わる。そしていい女を気取ったりする。身に付けた私はどれだけ無敵でいられるだろう。背筋が伸び颯爽と歩く。想像するだけでヤラレル。そう、自己陶酔に陥っているのです。
結局は自己満足の世界。そう、誰かさんのギターだったり車だったり、そういうものと一緒だ。そんなもんだ。誰にだってある、偏愛というアレだ。
いい、それでいい。私を天国へ連れて行ってくれるあなた達をアイシテル。