渋谷区宇田川町 バンコクナイト
恋人との定番は渋谷にあるタイ料理のお店、バンコクナイト。月に一度も会えぬ私達がお気に入りのお店。二人共タイ料理が好きで、彼は特に辛いものが好きで。時々無性に食べなくなるのだ。よく会話にも出てくる。
ハチ公前で待ち合わせ、スクランブル交差点を渡る。センター街に入り西武の裏へ抜けて左手にZARA、右手にベルーシュカを過ぎる。スペイン坂をしばらく登り左手に入るとそこにバンコクナイトはある。
「サワディカー」
「コップンカー」
タイ語が飛び交う。日本語が不自由なスタッフもいる。厨房の中もタイの人だろう。まるで本当にバンコクにいるようで、私たちはプチトリップを楽しむ。
ほの暗い店内で私は彼を見つめる。どうしてだろう。好きな人のことを観察する癖がある。彼ははにかむ。いつだってはにかむ。
「ねぇ、今度いつ会える?」
その一言が言えない。彼を追い詰めるようで言い躊躇ってしまう。
時々、もう終わりなのではないかと不安になる。私たちは真夏の夜の夢だったのではないかと。夏の熱気にうなされただけなのではないかと。一緒に飲んだミルク&ハニー。年下の君にとって私は過ぎ行く人になるのだろうか。まだ少しそばにいて。その言い方しか出来ない。二人共仕方がないよね。
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