私はあなたのCHOCO BABY
ときどき、ズルいなと思うことがある。いつも彼のことを追いかけている。彼のことが好きで好きで好きで、そしてもっと好かれたくて大切にされたくて認められたくて、いつも追いかけている。けれど本当は、好きで好きで好きでいて欲しくて、追いかけられたくて、焦がれられたい。そう望んでいる。惚れた方が負けと聞くけれど、まさにそういうことなのだろう。受け容れがたいけれど、私もその一般的な意見の中に存在する女性だったのか。少しショック。恋愛は勝ち負けではないと思っていたから。平等に愛し合い、歩み寄り、支え合い、人生を共有する尊いものだと思っているから。
けれど歩み寄り、という点で、先日私たちは進化した。
発端はちょっとしたことだった。彼の話に矛盾を感じた私は、その次のデートのしょっぱなにそれを問いただした。せめたい訳ではなかったので、確認したいと静かに穏やかに話したのだけれど、それが彼の逆鱗に触れた。そんなに怒ることはない話のはずだ。感情が高ぶるほどの話ではないはずだ。今思うと、もしかすると彼は“黒”なのだろう。若しくは私に問われたこと、疑われたことで不機嫌になったのかも知れない。ただわたしは納得出来ず、自分の感情を押し殺して一緒に居ることを選べなかった。それは自分にも彼にも嘘をつくことだと思ったから。そして彼は「帰る」と言い出した。私は腕をつかみ引き止めた。そういうことではない。私は向き合いたかったし、彼を信じたかった。優しい嘘をついて欲しい訳ではない。けれど、安心させて欲しかった。私たちのデートは、いわゆる「喧嘩」の状態になってしまった。
背中を向ける目を合わせない彼、自然に口を尖らせる彼、飲んでいたビールを一気飲みほしふてくされる彼。大人げなさ、素直さ、感情的な行動を見せる彼。二人のあいだの沈黙と、私の覚悟と。何分経っただろうか・・・私はぽつりと、彼に告げた。
「もう二度とこの話はしない。不愉快な思いはさせない。けれど、半歩でいい、歩み寄って欲しい。半歩だけ。私も半歩歩み寄る。それでこの話はおしまい。半歩歩み寄って、一つになろう」
ひと呼吸おいて彼は振り向き、目を伏せながらも肩を寄せてくれた。
怒りという感情は、悲しみが元になっているという。私に信じてもらえなかったことを嘆き悲しみ。素直な彼は怒りとして表現する方法しかなかったのだろう。そう思うと、子供っぽく純粋で純情な彼がたまらなくいとしかった。私のことが、私が思っている以上に好きなのだということがひしひしと伝わった。私だけが追いかけているのではない。お互いに焦がれて、向き合って、見つめて手をつないで欲していることが分かった。
離れている時、思考の90%はあなたのことを考えているよ。口数が少ないクールなあなた。だから私はときどき不安になるけれど、二人で乗り越えていこう。二人で乗り越えられる。今回の件で、私は強く実感した。
お互いに半歩歩み寄る。
それが私たちの仲直りスタイル。
私に信じてもらえなくてショックだったよね。ごめんね。けれどそれにより私たちは学び、進歩することが出来た。これは私たちの糧。不愉快な思いをさせ、お互い乱暴にぶつかった。けれどあなたは向き合ってくれた。ありがとう。これからもずっとそばに居られる。私は強く実感した。
目が覚めた時、私が隣に居て優しくあなたを見つめているところを想像して。孤独な男が愛される喜びを知る。それは多幸感。生まれて来たことへの感謝。あなたと私が生きる理由。使命を共有し、解放してあげましょう。
私はあなたのCHOCO BABY。甘く優しく癒してあげましょうね。いついつまでも信じて、あなたの味方で居ようね。溢れる愛を、無限大に。