いとしさ
最近、生きることに疲れている。
パワーダウンというべきか、やりたいこと、やらなければならないことが何か見えなくて、効果効率的に生きたくて、無駄なことはしたくなくて、有限な時間、貯金、それらについて考えると不安が押し寄せてくる。不安というと大げさだけれど、先の見えないトンネルにいる心地。
果たして、生きることとはどういうことだろう。
心臓を動かし、呼吸をすること?仕事をしてわずかな賃金で出来る範囲内に自分を満たすこと?子孫を残すこと?人を、愛すること?
少し懐かしい話だけれど、ゴスペラーズのヒット曲の歌詞で、
「愛してるって最近言わなくなったのは本当にあなたを愛し始めたから」
というのがある。正直、詳しくは知らない。曲のタイトルも知らないし、その曲以外のゴスペラーズのヒット曲も知らない。ただ、最近、ひっそりと、それを噛み締める。
あなたのことを想うと、涙がにじむなぁ。どうしてだろうなぁ。
愛してるだなんて言えないし、そんな言葉じゃ表現しきれないけれど、そばにいたいと思う。寄り添いたいと思う。陳腐な言葉で表現したくない。簡単に、気持ちを伝えたくないから。独りよがりになりたくないし、けれど私は自分勝手でワガママだから、あなたにも同じ気持ちでいて欲しい。
あなたは私のことを「かわいい」という。そしてときどき、これは私が言わせるのだけれど、彼に、「好き?」と言わせてみる。
「好き?」と聞くのは簡単だけれど、だって私はすぐに不安になるから、あなたからの「好き」が欲しくて欲しくて、たったその二文字の言葉で不安が少し拭えるから。けれど自分が言うことは簡単だから、彼に、あえて言わせてみる。
「好き?」「だーい好き!」
私はとびきりのにんまりとした笑顔と、肋骨がぎゅうっと締まって折れそうな力強いハグで彼の質問(私が言わせた質問だけれど)に応える。
なんと幸せな時間だろう。生きている、という感じがする。
いとしいを、愛しいとは表せない臆病な私。それは何か違う気がして。
未来に、いく末に自信はないけれど、今はそんなエネルギーなどなくて、あなたに会いたいけれど会いたくなくて、何かアドバイスが欲しいわけでも話を聞いて欲しいわけでもないから。けれど、私の味方でいて欲しい。一緒に、ビジョンを見たい。
未来を望むのだから、私は今、生きているのだろうなぁ。