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New York, New York ❹

ニューヨーク公共図書館での出会いが忘れられない。

事前情報は私の好きなドラマの主人公がここで結婚式を挙げる予定だったということだけ。結果としてその結婚式はドタキャンになり主人公はナーバスになるのだが、その美しい図書館を拝みたくて、去年の6月6日、私はニューヨーク公共図書館を訪れた。

圧巻だった。広い、そして何より美しい。グランドセントラル駅も素晴らしかったが、こちらも素晴らしい。語彙がなく恥ずかしいけれど、これほど美しい駅は見たことがない。東京駅の丸の内口も美しいが、さすがターミナル駅。規模がアメリカンだった。

椅子に座って眺めてみた。そしてうろうろと徘徊した。なんども同じ場所をうろうろするものだから、守衛の彼が話しかけて来た。こんな会話だったと思う。

「さっきも来たね、戻って来た」
「そう、とっても美しい」
「ニューヨークは旅行?」
「そう、東京から来たの。初めてのニューヨークなの」
「それはよかった。ニューヨークはどう?」
「最高!住みたいわ」
「住んだらいい」
「東京に家があるし、仕事もある・・・」
「どうにかなるよ」

こんな会話だった。ニューヨークは移民の街だ。大都会で忙しないけれど、他人に寛容だ。必要以上に干渉しないけれど心がある。初めてのニューヨーク旅行で私はそれを一番に感じた。ユニークな私を受け入れてくれる器を感じた。

守衛の彼が言うように、ニューヨークに暮らせたら。いろいろ、いろんなこと、どうにかなるだろうか。恋人は寂しがるだろう。私の恋人。可愛い人。

名前は知らない。守衛の彼には二度と会えないだろう。それでもニューヨークを思う時、彼の言葉を思い出す。

「どうにかなるよ」

この一言が私を励ます。夢を膨らませる。

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