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New York, New York ❻

私の恋人は、早起きだ。そして毎日、朝イチでおはようLINEをくれる。今日はこんな感じだった。

「おはよう、Jane。君の夢を見たよ。あのね、僕が君を探しにニューヨークへ行ってた。幸せな夢だった。少し泣きそうになった。あいしてるよ」

正直驚いた。実は、私もニューヨークで過ごしている夢を見たからだ。自由の女神を見に友達を案内している夢だった。しっかり覚えている。恋人は出てこなかったけれど、彼は私を探しに来てくれたという。

もし私が3ヶ月でも6ヶ月でも本当にニューヨークに行ってしまったら。彼に言ったことがある。私に会いにニューヨークに来てと。彼はきっとこんな奔放な恋人に会いに来てくれる。ほぼ毎日仕事で、時には徹夜で仕事をすることもある。連休なんてほとんどなくて、たまの休みも友達の展示会などを手伝うこともある。月に2度会えれば多い方だ。私たちはそんな付き合いをしている。とても忙しい人。それでも私に会いに来てくれると約束した。例え叶わなくとも、女はそうやって約束してくれただけで十二分に満たされる。そういう生き物だし、私は本当に幸せな女だと思う。

計画していた11月末のニューヨーク旅行、延期しようと思っている。取り敢えずお金を貯めねば。半年で140万くらいは必要だし、私は家を処分など出来ないからその間の家賃に食費や交際費。生半可な気持ちではニューヨークに行けない。

夢を追うことは容易いことではない。しかも私の場合、ただ単にニューヨークに暮らしたいということが目的だ。けれど人生で本当にやりたいことを叶えることが出来たら?

先日、バーテンの知人とこんなことを話した。彼は自分の店を持っている。今後店の形態を変えようと思っているらしい。そうすると収入も減るしお客さんも減るだろう、どう思う?と聞かれた。私はこう答えた。

「誰のためにお店を出しているかじゃない?」

彼は「いま君は、とても重要なことを言った」と。

私たちは誰のために生きているのか。何のために生きているのか。夢を追うことをやめたくない。やめられない。だから今は私に出来ることを最短最速でやるしかない。早くて来年、遅くとも再来年には叶えられるだろうか。気持ちは強い。だって夢に見るくらいだ。私は今世でニューヨーに暮らす。それだけは確実だろう。

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