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【とよた未来共創塾レポート】第1回「はたらく」はこれからどうなるのか

ハッシャダイソーシャルは、豊田市および豊田市雇用対策協会との連携プロジェクト「とよた未来共創塾」第1回目を2024年11月5日(火)に開催しました。

はじめての開催となる「とよた未来共創塾」。

地域の企業の方や学校の先生方など、定員を超える30人以上の方が参加をしてくださっています。

第1回目は「令和の転換点とはたらくということ」をテーマに、リクルートワークス研究所 主任研究員の古屋星斗さん(以下、古谷さん)に講演をしていただきました。

プレスリリースはこちら:

このレポートでは、第1回講義の内容や会場の雰囲気をたっぷりと皆さんにお伝えしたいと思います。

はたらく未来のためにひとりひとりができることを教員、企業、学生、それぞれの立場から考えるきっかけになると幸いです。

今回は学生インターン生、稲田が担当します!



はじめに|豊田市の未来を大きく変える、小さな変化を

現在、日本では少子化と高齢化の進行により、労働力不足が深刻な社会問題となっています。

労働力人口の減少や転職の増加を背景に、就業環境や労働市場は大きな変化を迎えています。中小企業・大企業を問わず、採用活動が困難になっており、とりわけ高卒者の採用難には企業と学校の連携不足が影響する一方で、学校現場では多忙さが増し、キャリア教育の実施が難しい現状があります。

また、若者は現在の仕事や学びに対する前向きな意識を持ちにくく、早期離職や退学を選ぶケースが増加しています。

このような社会的なトレンドは、高卒者数の減少、教員の負担増加、若者の精神的健康問題といった課題を伴い、最終的には地域社会の活力を損なう恐れがあります。

とよた未来共創塾では、これらの課題を解決し、地域全体の持続可能な発展を目指すために、目の前の採用目標に囚われず、長期的な視点で地域の未来やひとりひとりができることをみんなで考えていきたいと思います。

さらに、今回は共通認識(グランドルール)として、以下3つを設定し、参加者全員で会場をあたためていきました。

1. 常に可能性を見出す。
2. 人の言うことに対して否定的な態度を取らない。
3.「たのしい」を「たのしむ」ことから生み出す。


三浦:自分がアクティブに楽しもうという姿勢をもって楽しんでいければと思います。みなさん、準備はよろしいでしょうか?


一同:………(静まり返る現場)


三浦
:…みなさん、元気ですか!?!?(笑)

一同:(笑)


三浦
:それでは古屋さんよろしくお願いします!(拍手)


講演|令和の転換点とはたらくということ


若い世代での「選択」の回数が増えている

古屋さん:最近は、若い世代が”選択する”機会が本当に増えてきていると思います。

例えば、20代のうちに退職を経験する人が47.2%もいたり、副業や兼業をやっている人は14%、やりたい人は36.8%もいたり(JPSED2024より)。

そのほかにも、学び直しや家族の介護、子どもの誕生など、昔と比べていろいろな選択肢が広がってきています。

さらに、転職希望率もこの5年で上がっており、若い世代はもちろんのこと、最近では40代後半から50代前半の転職者も増えています。

また、この5年で職場環境も大きく変わりました。

例えば、2015年の若者雇用促進法や2019年の働き方改革、2020年のパワハラ防止法といった法改正により、職場環境が改善されてきました。

しかし、労働の需要が増えている一方で、供給は減ってきています。
これこそが、かなり深刻な「労働力不足」につながっていると私は考えています。
この背景には少子化だけじゃなく、高齢化が大きな影響を与えてる気がしています。

労働力の不足は「少子化」ではなく「高齢化」

今の社会は、85歳以上の人がどんどん増えて医療や福祉の需要が高まる中で、それを支える人手が足りない。単なる「人手不足」ではなく、供給量そのものが足りなくなってる、いわゆる「*労働供給制約」が起きてるという状況なんです。


*労働供給制約とは...
景況感や企業の業績に左右される単なる人手不足ではなく、労働供給量が社会で必要な労働需要を下回る状態のこと。


地域全体で人を育てる時代

こういった状況で、企業は「人を辞めさせない」だけではなく、「なぜその会社に居続けたいと思うか」を考えないといけないと思っています。

さらに、残業が減ったり、社内の教育が減ったりなど、今では”職場の外でどう学ぶか”も重要になってきています。
そこで注目されているのが「地域同期」と「地域共同育成」。

例えば、小田原箱根商工会議所がやっている合同入社式の取り組みでは、地域の中でお互いを刺激し合いながら成長していく仕組みになっているんです。

社内コミュニティを充実させるために、運動会やキャンプなどをやる会社も増えていますよね。
「地域全体で人を育てる」という発想が、より求められる時代になってきていることを感じます。


これこそが「令和の転換点」

こうした最近の日本の労働環境の変化は「令和の転換点」と言われています。
昔、1954年にアーサー・ルイスという経済学者が「ルイスの転換点」という概念を提唱しました。

簡単にお伝えすると、経済が発展していくうちに、最初は農家や小規模商店など家族でやってる仕事から、余ってる労働力が供給される。
しかしそれが底をつくと、今度は賃金がどんどん上がるよ、という話です。

僕自身、今の日本もこれに似ているなあと感じています。

高齢化が進む中で労働力の供給が長期的に減っている。
さらに、医療や介護みたいな生活を維持するためのサービスの需要が、とても増えてきているんですよね。

その結果として、賃金が上がり、企業が設備投資を増やしたり、物価が上昇したりしてるんじゃないか、っていう見方ができるんです。

実際に今は、大企業も中小企業も採用が難しい時代になっていて、高校卒業者の求人倍率は過去最高の3.70倍にまでなっているんです。まさに「人手不足」が深刻な時代に突入している気がしています。


令和の転換点後にはたらくということ

そもそも今の日本では、人口は減少、高齢化も進行しているため、働き手が足りなくなるという根本的な問題に直面しているんですよね。

それに加え、若い人たちがいろんな選択肢に直面しており、将来に不安を抱えることが多い。ここで大事なのは「誰が、どうやって人を育てるのか」というところだと僕は思います。

今の時代、企業だけが人を育ててくれるわけじゃないと思います。

残業時間が減ったり、教育訓練の機会が減ったりしている中で、学校、行政、企業が連携し、みんなで人材を育てていく仕組みが必要なんじゃないかな、と。

要するに、ひとりひとりが成長できる環境を地域全体で作っていくことこそが、これからの働き方のカギになるということな気がしています。

ディスカッション| 持続可能な地域の未来をつくるために、これからできることとは


三浦
:先ほど高卒就職者の採用が困難になっているというお話がありましたが、採用するために企業が一社でできることはありますか?


古屋さん

高卒就職者を一社で採用できないという課題を好転させることは、極めて難しいですよね。

僕は、採用力の強化など、これまでの延長上で戦うのではなく、地域みんなで採用力を上げるための取り組みが必要だと思うんです。

地域で採用する、地域で育てるというように、これまでの当たり前を取っ払わないと、令和の転換点において持続可能な地域・企業づくりはより難しくなってしまうのではないか、と。

そういう意味では、「正解」なんてないんだと思うんです。
これまでと同じことをしても、意味はない。だから、あえていうなら、試行錯誤をすることが、「正解」なのではないかな、と。


三浦
:なるほど。試行錯誤をすることが「正解」って、まさにですよね。

1990年代くらいからキャリア教育が本格的に取り組まれるようになっていきましたが、一方で、少子化が進み、大学の数は微増しているという状況がありますよね。
これらに対して、学校の先生方や、子どもを育てる親御さんはどのような関わり方をしていくと良いのでしょうか。


古屋さん
:僕、この社会で一般とされている学習方法は、順序が逆だと思うんですよ。


三浦
:順序が逆?


古屋さん
:はい。

“手に職をつけるため”に選ばれることの多い職業、例えば看護師さんの育成プロセスはわかりやすいと思うんです。まずは座学で知識をつけ、そのあとに実習をするんですよね。

でも、僕は先に現場で働いた方が、自分に足りないものが分かると思うんです。
宇宙飛行士の話を聞いて感動した、だから自分は物理学を学ぶ。JICA(国際協力機構)の人の話を聞き、そこで働きたいから英語を学ぶ。

このように、動機が先で、学習が後にきた方がいいんじゃないかと思うんです。体験を最初に持ってきたほうが、就職後の想像もしやすくなるし、わくわく感も残る。

だから、先ほどの講義で述べた早期離職率の低下に繋がるのではないかな、と。


三浦
:たしかに、職業体験(インターンシップ)などと同じで、実際にやってみて得られる感触や知識は僕も大事だと思います。


古屋さん
:大学受験がいい例で、志望校を選ぶ際に体験や動機ではなく、偏差値で選ぶことが多いのではないか、と日々研究をしていて感じます。

でも、動機があるかないかによって、大学に入った後の満足度が変わるんですよ。就職にしろ進学にしろ、その学びが「自分のやりたいことと関係しているか」が大切なのかな、と。

そういういった面では、宗一郎さんみたいな動機が先に来ている人が良いのではと思いますよ。


三浦
:たしかに、自然と体が動いちゃっていました。(笑)

僕、実は今、絶賛大学2年生をしていまして。
歴史や哲学を学んでいますが、10年前の自分では面白くなかっただろうなということも、自分の人生とプラグが接続されていく感じがあり、とても面白く感じますね。


三浦:ここで、質問タイムに入りたいと思います。何か質問がある方はいらっしゃいますか?

今、絶賛、高卒の採用に大変苦戦しておりまして...。
採用活動に取り組んでいる中で、その中で、世代間のギャップを感じてることが多いの のですが、今の若者 17歳18歳が仕事に対して何を重要視して選んでいるのか、古谷さん・三浦さんのご意見を伺えたらいたいと思います。

古屋さん:ありがとうございます。

僕、世代間のギャップはファンタジーだと思うんです。
だから、世代間のギャップなんてないんじゃないかな、と。


三浦
:ファンタジー!(笑)でも、そうかもしれないですね。


古屋さん
:私の調査で分かったことなんですが、今のZ世代と呼ばれる若者の就業観と約40代の方の就業観はびっくりするくらい変わらないんです。

違いがあるとすれば、若者であればあるほど、いろんな人がいて多極化している。実態としては世代が違っても自分と同じような人が多い一方で、分からなさを抱くがゆえにコミュニケーションが円滑にまわらず、分からなさを助長しているんですよね。


三浦
:なんと!変わらないんですね。
その“分からなさ”を乗り越えるには、何が必要だと古屋さんはお考えでしょうか?


古屋さん
:「話すこと」なんじゃないかな、と。

時間の長さではなく、頻度が大切だと思っています。長時間話すより、1日1回話すというように、頻度が高い方が効果があるんですよね。

「この人とは円滑にコミュニケーションがとれない」と感じることが、コミュニケーションを阻害し、より”分からなさ”を助長してしまうんじゃないかな、と。


三浦
:なるほど。
ハッシャダイソーシャルは若者と関わることが多いのですが、無意識に長時間話すより、頻度を高くしていました。若者と関わる上で、ポイントになってくるのかもしれませんね。

他に質問のある方はいらっしゃいますか?

今回のセミナーに参加した1番の目的は、今の高校生の思考を知りたいということでした。先ほどの方と同じく我々も高校生の採用に苦戦しております。いまして、現状、例年の半分ほどの人数の人しか来ていただけないない状況にあるのですが、高校生に人気な業界や業種はあるのでしょうか。

古屋さん:ありがとうございます。

僕は、高校生の思考は変わっていないと思うんですよ。
ただ変化しているのは、全体のパイの数なんじゃないかな、と。


三浦
:全体のパイの数?


古屋さん
:現在、多くの企業が若手を欲しているんじゃないかな、と研究していて感じます。
例年と比べて求職者数は5割ほど減っている中、求人数は4倍ほどになっているんです。高校卒の採用に苦戦しているというのは、全国どこでも共通していると思います。


三浦
:ええ!そうなんですか。


古屋さん
:そうなんです。ですから、御社や御社の業界だけが人気がなくなったとかではないと思います。研究結果では、製造業に30~40%就職、建設業に15%就職、小売業に10%就職しているという割合が出ていて、これは例年と比べてあまり変わらないんですよね。

ただ、この流れは今後も続いていくと予想されるので、抜本的な手を打っていくことが重要です。そんな意味でも、このイベントでのご縁やアイデアから何かいいものが生まれたら、より素敵だな、と思っています。


三浦
:そうですね。

そもそも若者が減っている一方で、通信制高校からの就職率が高かったり、高卒就職の離職率も高かったりするじゃないですか。

そうした状況がある中で、高卒採用の戦略を変えていく必要性はあるのでしょうか?


古屋さん
:いや、まさにそうですよね。

現状、「指定校推薦を出す」というやり方だけではなく、高校卒業後、4割が離職する中で、そうした方をしっかりと受け止めていくような体制が必要なんじゃないかな、と思います。いわゆる、第二高校新卒ですね。


三浦
:日頃から若者と話していると、高校卒の転職者は仕事に対してネガティブな思考を持たざるを得ない状況にいる方が多い感触があります。なので、離職後すぐに転職支援をするというよりかは、まずは回復する必要があるんじゃないかな、と。体を休められる巣みたいな場所が、必要なんじゃないかな、と思います。


古屋さん
:うんうん。僕もそう思います。

ハローワークとかに行くとそういう支援を受けられますが、若者の多くは、ハローワークに行こうという発想をなかなか持ちづらい気がしていますし。


三浦
:いやー、まさにそう思います。話は少し戻りますが、求職者が減っていて求人数が増加する中で、採用側は何を頑張ったらいいんでしょうか。


古屋さん
:採用を頑張るのではなく、キャリア教育を頑張った方がいいですね。

つまり「種まき」だと思います。

採用だけ何とかしても、若者の取り合いになるだけですよね。

だから「種まき」をして、給料がいいとか休みが取れるとか以外に、その段階で何か会社の魅力をひとつでも多く認知してもらうことが重要だと思います。


三浦
:たしかに。選択肢が多いということは、選ぶ側からすると、選ぶことが難しくなっているかもしれませんね。条件が良いところが沢山ある中で、どの条件を重視したらいいのか分からなくなっているというか。

だからこそ、いま古屋さんがおっしゃっていたように、勤務形態の他に、その会社だからこそ感じられる魅力は大切かもしれません。これが、「種まき」ということですよね。


古屋さん
:まさにですね。
企業が種をまいていく中で、その企業がある地域で学びたいという気持ちが生まれていくんだと思うんです。若手社会人を派遣するとか、職場体験を受け入れるとか。そのあたりが僕は必要なんじゃないかな、と。


三浦
:うんうん。
進学率が上がっていくと、学校の中の生徒たちの可処分時間も、「いかに進学実績を上げるか」ということに時間を使ってしまうケースもあるのかなと感じますね。


古屋さん
:それも逆なんじゃないかな、と思いますけどね。進学実績だけで勝負することができるのは、限られた一部の学校だけですから。

それよりも「どんな人物を育てていくのか」という目線で勝負する方が、僕は有効的だと思います。

そうなったときに、体験や、さまざまな人との接点をつくることが、学校の競争力につながりそうだな、と。


三浦
:たしかに、人との出会いや体験は、他の何にも変えられないものですよね。ありがとうございます。

さて、まだまだ話を聞いていきたいところですが、あっという間に19時を回ってしまったようです。

これにて、古屋さんの講演は終わりたいと思います。

古屋さん、本日はお越しいただきありがとうございました!


古屋さん
:とても楽しかったです。みなさんも、ありがとうございました!


編集後記|実際に行ってみることで得られる学びは大きい!


今回、「とよた未来共創塾」第1回目に参加させていただき、私自身もキャリア教育や地域全体での繋がり、共に解決策を考えることの重要性を学びました。

また、「ストリーミングサービスを使用してもいい時間で努力ができるかが問われている」というお話にはドキッとしました。

暇な時間があると、ついおすすめされた動画を見てしまい、休みの日にまで学ぼうという気にはなかなかなりません。とくに、今回のような一見難しそうなテーマだと足が重たくなってしまうように感じます…。

ですが、今回イベントに参加してみて、普段はなかなか出会えないような先生方、企業の方とお話をしながら学ぶことはとても楽しかったです!

こうして、実際に行って、いろんな人と出会うことで得られる気づきや学びはとても沢山あると思います。

残りの4回も前のめりに参加し、沢山の学びを吸収したいと思います!

今回、ご講演くださった古屋さん、参加してくださったみなさま、この機会をつくってくださった豊田市産業労働課のみなさま、本当にありがとうございました!

今後とも、どうぞよろしくお願いします!

執筆:ハッシャダイソーシャル学生インターン生 稲田真優


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