経営にかかるお金。固定費・変動費の中身を知ろう
アントレ独立おたすけサービスにご相談いただく方で、これから起業をする方は、基本的に経営経験はありません。その時点で知らないのはいたって普通のことなのですが、いざ独立して経営をしてみると、売上を出すために色々な支出が必要なことが分かります。融資申請のときにも、原価・販管費など色々な項目で支出の計画を出しますが、実際にどんな項目があるのか・どれくらいかかるのかを肌感覚で知っている人はあまり多くありません。経営してから、「これってこんなに高いの…」と悩みの種になることも珍しくありません。
前にも須戸触れましたが、改めて今回、どんな項目あるのか、何が変動しやすいか、支出の特徴を解説します。
金額が決まっているもの=固定費
固定費は、最初から支払う金額が決まっているもの。代表的なものに以下のような項目があります。
◆家賃
店舗や事務所を構える場合は、絶対発生する支出。個人事業主にとっては大きな金額になることが多いです。
◆人件費
時給制などのアルバイト・パートの場合は多少変動することもありますが、人数が変わらなければ、大きく振れることもありません。多くの場合、金額は安定しております。そして、数ある支出の中でも、最も遅れが許されないものでもあります。他の項目の遅れは自分の責任ですが、従業員の給与の遅れは従業員の生活に影響する可能性もあります。「人件費だけは守る」と言う社長が多いのはそういうことです。
◆集客費
広告枠があるポータルサイトの掲載費用や、ご自身でWeb集客をやる場合の費用などです。時期によって変動する場合もあるので後で触れる変動費に入れる場合もありますが、予想外にかかった、と後から発覚するようなことはほぼありません。そして、私が普段資金調達サポートをしていて、この集客費が最も計画と実態が乖離しがちです。集客費は開業資金には一切入ってないので、相場読みづらいのと、始めるときはなんとなく成功するイメージが強くなりがちなので、集客費を低く見積もってしまうことが多いのです。要注意です。
都度金額が動くもの=変動費
逆に、月々の費用が一定ではなく変わり続けるものを変動費と呼びます。代表的なものは以下の項目です。
◆水道光熱費
水道代・電気代・ガス代は使用量に応じて料金が変動するので、金額が同じになることはほぼありません(基本料金に収まる費用でなければ)。飲食店・美容サロンなど顧客が店舗にいる時間が長いビジネスは店内環境を一定に保つため、夏場・冬場などは費用が上がる傾向にあります。
◆原価
飲食店の場合は食材・飲み物代、美容サロンの場合は材料代(ジェル・シャンプーなど)など、売上を出すための最も土台となる費用です。仕入れを前もって進める場合もありますが、基本的にはまさに売上連動になる費用です。
◆税金
これも大事なものです。個人事業主は後払いもあるとはいえ、所得税・消費税は完全に利益・所得に連動します。そして儲かれば儲かる程、金額が上がります。融資の時に必要な収支計画を書く段階で、この税金のことを最初から見込んで書いている人はほとんどおりません。かなり抜けがちな項目ですので是非覚えておいてください。事業をやる以上、避けては通れません(笑)。
以上が、およそどんなビジネスでも出てくる項目です。
これ以外では、フランチャイズに加盟する時に発生するロイヤリティ(変動の場合も固定の場合もあり)・軽運送ドライバーの場合のガソリン代(変動費に入ります)など、業態や契約タイプ次第でかかる費用もあります。
後々、「運転資金が思ったよりかかった!」となることは珍しいことではありません。とにかく計画段階で、どんな費用がかかるのか・固定なのか変動なのかは、できる限り想定しきることが大事です。
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