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自由創作#28 mass humanity

塾の帰り道。

夜の静けさと空気感が僕は好きだ。

いつもの帰り道には、
一棟のマンションが建っている。

僕は何となく見てしまう。

その中の一室に目が止まった。
8階の左端から2つ目の部屋。
カラフルな電飾が見えた。光りが付いたり消えたり、賑やかに部屋を彩っている。

あの家に住むお子さんの誕生日パーティーだろうか?
おめでとう。誰だか知らない誕生日の人よ。

他の部屋はほとんどカーテンが閉まって見えない。
別に良い。しっかり見えないとは言え、あまり人の家を見るもんじゃない。

でも、こうしてマンションを外から眺めると、
不思議な気持ちになる。

あの部屋では誕生日を祝っている。
仮にこの部屋は802号室(ハチマルニ)としよう。
802号室では子供の誕生日パーティー!

902号室の人は暗い部屋で体育座りしている。
803号室では晩酌しているお父さん。
702号室のカップルは×××している。
1001号室の人は包丁を持っている。
701号室は兄弟でテレビゲームしている。
901号室の人はテイクアウトした中華を爆食いしている。
801号室の人は風邪で寝込んでいる。 
903号室は家主が残業で留守だ。
1002号室ではお婆さんが倒れている。
703号室の人は映画を観ている。
204号室の人は誕生日を1人で過ごしている。

...かもしれない。

部屋こそ違うが、
上や下、右や左隣の
すぐそばで別の人間が様々な生活を営んでいる。


マンションは人間味の集合体だ。

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