出会いは偶然に。
今、温かい紅茶を飲みながら、書いている。
その紅茶は、「ムレスナ」というお店のもの
である。
なんとも言えないいい香りがして、
心が豊かになる。
その紅茶を知ったのは、
あるお店でランチをした時である。
何度か行ったことのあるイタリアンのお店
なのだが、食後はいつも決まってコーヒーを
頼んでいた。
先月食事に行ったときには、
珍しく紅茶が飲みたくなったのだ。
デザートと共に運ばれてきた温かい紅茶を
一口飲んだ瞬間、驚いた。
「うん???何、この香り???」
鼻にぬける紅茶のさわやかな香りが、
なんとも心地良かったのだ。
美味しすぎて、
思わず店員さんに聞いてしまった。
「これ、どこの紅茶ですか?」
他にもたくさんお客さんがいて、
忙しいにも関わらず、
店員さんは丁寧に教えてくれた。
「ムレスナさんの紅茶ですよ。
阪急に入ってますよ。」
そのムレスナティーのカフェをされている方が
お食事に来られたときに、
食後の紅茶を出した際に怒られたそうだ。
「せっかくの美味しい料理が、
最後の紅茶で台無しだ。」と。
「コーヒーは、みなさんこだわるから、
名前の通ったものをお出ししていたんですが、
紅茶はそこらへんのセイロンティーを
出していたんですよね。
そしたら、めちゃめちゃ怒られて。
そのカフェで、お腹がちゃぷちゃぷになる
まで、紅茶を飲ませてもらったんです。
それからは、ずっとムレスナさんの紅茶を
使っています。」
もし店員さんが怒られていなければ、
いつまでもそこらへんのセイロンティーを
使っていただろうし、
あの日珍しく紅茶を選ばなければ、
ムレスナティーと出会うことはなかった
かもしれない。
この偶然の出会いのおかげで、
「ムレスナさんの紅茶をいただく」という
新しい楽しみができたのだ。
そして、春の別れのご挨拶にも、
ささやかながらこの紅茶をお渡ししたのだ。
「何かいいものないかなー」と
探しているときほど、見つからない。
思いがけないところに、
出会いは転がっているものだ。