いずも乃おくに
歌舞伎踊りの創設者。出雲の阿国。
アバンギャルドである。
阿国の出生は出雲だろう。
古代、出雲王権は、大和王権との争いに敗れ、以来監視下におかれた経緯を持つ。
出雲への渡来人は新羅系であり、舞や芸ごとへの文化は深かったであろう。
一方大和は、百済系であり、算用や職人芸に秀でていたといえまいか。
また、出雲系を長頭族、大和系を短頭族とする分類研究もあるようである。
出雲の阿国。
と聞いて、時代の先端を走る女性の、反骨と創造の源に思いをはせる。
その為に、この名前には何か神秘的な匂いがするのである。
女性が創設の、この歌舞伎が、やがて女人は演じることを禁止される。
男による、女形。という独特の芸術形態を産む。
阿国はこのことを、どう思っているのだろうか。
私にはこう聞こえた。
「前衛とはそういうもんなんだよ。」
といって、まったく意に介していないのである。
また、こうも言った。
「あのね、いつの時代も、抜本的なブレイク・スルーを行えるのは、女なんだ。」
いやはや。出雲の阿国である。