祖母激怒の真実
妹がまたお宝を発見しました!
以前のお宝はこちら👇
「見てよ見てよぉ〜」
妹の肩は既に震えています。
「なによなによぉ〜」
私も弾む気持ちを抑えられません。
妹が見せてくれたのは祖母の名前の入った賞状でした。町内会から送られたものです。
「あれ?おばあちゃんって町内会の仕事はしないって豪語していたよね?」
生前、祖母は町内会の会費は払っても役員は引き受けなかったのです。理由を聞くと、鼻息荒くこう言い放ちました。
「町内会費で飲み食いしたくないからね!」
イベントが終わると確かに役員やお手伝いの方々が集まり打ち上げをします。
しかし、子どもには祭りやラジオ体操、季節のイベントごとにプレゼントをくれますし、祭りの備品管理や敬老の日の贈り物もきちんと行っています。だから祖母の「飲み食い発言」は不自然です。町内会はしっかり仕事をしていたので慰労会は正しいといえます。
不思議ではありましたが、面倒なのでそのまま放置。結局、母が仕事終わりに役員を引き受ける形で丸く収まっていたのです。
役員をやらないのは祖母の矜持かなとずっと思っていました。周囲に流されるタイプの私には眩しい存在にも感じていたのですが。
妹が禁断の屋根裏を開けたことで真実が明かにされたのです。
「おばあちゃんの名前が年度ごとに微妙にズレてるw」
妹の手から賞状がハラリと落ちます。
「おっとぉ!」
しっかりと受け止め、3枚の賞状をテーブルに並べました。
「あらー。これパパとママが結婚する前だね」
母は生前、祖母が町内会の仕事を引き受けないことを気に病んでいました。
「なんで町内会に悪態つくのかしら」
母にもこの賞状を見せれば町内会と祖母に距離があった理由がすぐにわかったのに。早く亡くなると真実を知れないのです。母、残念でした。
👻👻👻
話を賞状に戻します。
1枚目の賞状の名前は
・みつ(仮名)
2枚目の賞状の名前は
・みつ子
3枚目の賞状の名前は
・みつる
年を重ねるにつれ名前の最後が変わっているのです。
「達筆だねぇw」
「でも名前間違いはいけないよねw」
「最後、男になっちゃってるよw」
男の名前を書かれたのがよほど腹立たしかったのでしょう。みつるを最後に町内会から賞状が送られた形跡はなかったそうです。
「みつるがスイッチだったんだw」
「そんなに腹立つなら捨てればいいのに」
「賞状だから捨てれなかったんじゃない?」
亡くなって14年、ようやく祖母激怒の真実が判明しました。