【#毎週ショートショートnote:桜回線・魅力的な台詞ではじまるお話】
「魅力的な台詞で始まるお話」と振られると緊張で指先が硬くなります。なら「桜回線」だけで書けばいいじゃないと思いましたが。でも課題が出るとどうしてもこなしたくなるんです。
ということで今週も「桜回線」で「魅力的な台詞ではじまるお話」に挑戦してみました。なんかね、もう100本ノックを受けている気分です。
漫画「キャプテン」の谷口主将がお父ちゃんと猛特訓した夜の神社の気分で書き上げました🙌努力の天才谷口君、大好きなんです😊
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「美しい桜を君に捧げよう」
大きくなったお腹に舞い降りた桜をのせニッコリ笑う。そんな大人だけのおだやかな時間はどこへやら。生まれてからは慌ただしい毎日に青息吐息。
ミルク、ギャー。オムツ、ギャー。理解不能、ギャー。
人がひとり生まれるのがここまで大変だとは。仕事、家事、育児で疲れた頭のままスマホをボーっと見ていると桜前線のニュースを見つけた。
「週末、3人で観に行こうか」
桜並木に到着しベビーカーを押していたら、桜の蜜を求めて枝に止まる小鳥につつかれた花がクルクルと舞い落ちてきた。1つ拾って子に見せると「ギャー」と泣く。
「綺麗だよ」と言っても泣いたままなので、黙って桜を離した。なんで怖いのよ、妊娠中は黙ってたじゃない。ため息をつきながら、つまんだ桜を耳に持って行き、ボーっとしていたら
「桜回線はまだつながっておりませんが、そのうち開通するでしょう」
と声がして「え?」と桜を落としてしまった。
横で笑う夫を発見し軽くどついた。
(410字)
いつかSSGにも投稿しようかな、と思ってます。勇気がなかなか出ないのですが。
たらはかにさん、今週もありがとうございました。