【#毎週ショートショートnote表お題:親切な暗殺】夜空の月より冷たき為政者
本日は夜になでしこジャパン五輪予選の試合があるため、表お題と裏お題を同時投稿します。
まずは表お題「親切な暗殺」です。
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あなたの心を読み、常に足元の小石を取り除くように邪魔者を葬り去る、そうやって私は生きてきました。
それなのに、私は闇に紛れて生きなければならない!神があなたに勝利を与えているかのように一人ひとり丁寧に殺害していったのに。
ある者は自然死、ある者は戦死、あるものは不慮の事故。
私をいつか側近として召し抱えると言ってくださっていましたが、いつそうしてくださるのでしょうか?
ある夜、王の闇の刺客として長年使えてきた者が直接訴えてきた。
自分の幸運はお前の働きのおかげだといつも感謝をしていた、と話を聞き終えると王はニッコリとした。
「全てが親切な暗殺であった。どれも違和感がなく見事だった」
王は家来を呼び、自分と暗殺者のためにワインを持って来させた。
乾杯、とワインを飲み干すと暗殺者のみが喉をかきむしりながら息絶えた。
「王、これで何人目でしょうか?」
大臣がたずねる。
「忘れた」
冷たい王の横顔を照らしながら夜空の月はそっとため息をつく。
(410字)
お題が暗殺なだけにいつもと違うテイストに仕上がりましたが、はそやmはノンポリです。
裏お題「新説なピン札」はこちら👇