
Photo by
suzumuraxxxjun
【#シロクマ文芸部1月③】負けない姫
シロクマ文芸部の1カ月の全お題を使って一つの物語を作っています。レギュラー部員は月初めにお題を全部教えてもらえるので思いつきました。第1回目は20字小説、2回目以降は文字数制限のないお話というスタイルで毎月挑戦中です。
第1回目はこちら👇
第2回目はこちら👇
雪が降る中、姫は歯を食いしばり歩き続けます。寒さで今にも倒れそうです。指や鼻、頬はズキズキと痛みます。それでも姫は歩をゆるめようとしません。
「負けるもんか」
自分が告げた夢の悪い部分しか見ず、自分達でなんとかしよう、未来を切り開こうとしない大人達の姿を思い出し姫の心に怒りの炎がポッポと燃え始めました。
「悪いことのあとには必ずいいことがる、それを大人のクセにどうしてわからないのだろう?」
体の外側と反比例に姫は内側を熱く熱く燃やします。
「負けるもんか」
夢の中から出てきたような華奢で美しい姫は強い心の持ち主だったのです。誰もやらなければ私が未来を切り開くわ、そう考えた時、行く先になにかがうずくまっているのを見つけました。
「誰?」
声をかけますが、それはピクリとも動きません。しばらくジッと見ていましたが危険な雰囲気はなさそうです。
「大丈夫?」
姫はそういいながら近づきました。

「お姫様強いね!」
「女の子でも強いんだね!」
「強いに男も女もないものよ」
そういうとおばあさんは本をそっと閉じました。
「えーもっとお話し聞きたい」
「また来週。寝る時間だよ」
「来週かあ」
少し不満そうではありますが、子ども達は大人しく目をつむります。
「あなた達は本当にいいこねぇ」
可愛らしい寝息に、おばあさんが目を細めました。
(つづく)
今後どうなるかはキーボード次第です。
小牧幸助部長、今週もありがとうございました。