【#ウミネコ文庫応募】ウミネコネコネコなんのネコ♪
「ウミネコってネコがいるらしいニャ~」
イエネコのチェビィが気だるそうに言いました。
「へえ、そりゃ初耳ニャアア」
サケネコの呑丸はアクビをしながら答えます。
「俺達サケネコは酒蔵を守り、客が心地良く財布のヒモをユルめるようにするのが仕事ニャ」
「私達イエネコは人間に安らぎを提供し、程よい距離感の教育をしてあげるのが仕事なのニャ~」
「俺達は本当に日々休みなく働いているニャ」
「人間って、そこを理解していないのニャ~」
チェビィと呑丸は互いに顔を見合わせ「フミャアァ」とため息。
日々身を粉にして働いているのに「ネコは休みばかりでいいね」と的外れな声をかけられるからです。
こんなに理解されないと文句のひとつも……となりそうなのですが、チュールを差し出せば機嫌を直します。そこが猫の良いところだと思いませんか。
「あまりにしつこいとイヤニャをするニャ~」
「でもアイツらそれも嬉しそうニャンだ」
「そ。だから相手をしてあげるのニャ~」
「また、あいつら目を細めて可愛い顔をするんだニャア」
「ニャア~」
と互いの飼い主自慢になりかけたとき、
それまで黙って足元の葉っぱをいじっていた仔猫のミィが、
「ウミネコって空を飛べるニャ!」
と言いました。
「ウミネコ?」
「空を飛べる?ニャニャ?」
「おうちの人がウミネコは飛ぶって言ったニャ。ネコって空を飛べるニャ?ボク飛びたいニャ!」
幸い、この町は海の近くにあります。
興味津々な3匹はニャラッタと海へGO!
ウミネコネコネコなんのネコ♪
ウミネコネコネコなんのネコ♪
港に着くと船の間にネコを発見。
「ウミネコニャッ」
「お前さん、空を飛べるウミネコニャのか?俺はサケネコの呑丸ニャ」
「私はイエネコのチェビイ。空を飛んでみせてニャ~」
「ぼくはミィ!飛んでニャ!ニャニャッ!」
もう3匹は目を大きく見開きキランキラン。
「ちょっちょっ、確かにオイラはウミネコのヒロキだニャ。港の癒しネコニャ。でも空は飛べニャいぜ」
「でも飛べるって聞いたニャッ」
ミィの丸い目がウルウル。
今にも大粒の涙がポロリとこぼれそうです。
「どうしてくれるニャッ!」
「こんニャ可愛い仔ニャコを~!」
飛べニャイようとヒロキが困っていると、
「どうしたのぉ~」
と空から声がしました。
4匹がミニャ?と顔をあげると
白い鳥がフウワリと舞い降りてきました。
呑丸がミィを後ろへコロン。
ミニャニャ?と転がるミィをチェビィがキャッチ。
仔猫はネコの宝。成猫が責任を持って守ります。
シャアアア。
しかし、ウミネコのヒロキは、
「助かったニャア」
とホッとした顔で正体不明の鳥に声をかけます。
「ニャニャニャ?」
町から来た猫3匹は「?」でいっぱいの顔に。
「おニャえさん達は勘違いしてるニャ」
「ニャア~?」
「確かに俺はウミネコニャ。でも空を飛べるウミネコはこっちニャ」
「バカにするニャ。鳥じゃニャいか!」
「イエネコだからって騙そうとしてるニャ~」
「違うニャア。困ったニャア」
ウミネコのヒロキが困っていると
鳥がクスクスと笑いながら、助け舟。
「私、ウミネコよ」
「どうしてニャ?鳥ニャのに」
とミィが呑丸とチェビィの足の間からピョコンと顔を出して質問をしました。
「鳴き声がね、ネコさん達に似ているの。ホラ」
3匹が両耳をピョコリと向けると
「ミャア~ミャア~」
と鳴きました。
「ホントだニャ」
と納得はしたものの、なんとなくガッカリ。
「悪かったニャア」と呑丸。
「間違いは誰にでもあるニャ」とヒロキ。
誤解も解け、帰ろうとしたとき、
「ぼくもう歩けニャイ」
とミィがグズグズ。
仔猫に港までの道は遠かったようです。
「イエネコはおうちの人に心配をかけてはいけニャイのニャ~」
とチェビィが無理に立たせようとしますが、
「ヤダニャア!ヤダニャアアア」
とミィは駄々をこねこね、こねまくり。
仔猫がこうなったら、もうおしまい。
魔のメロメロ光線を発してしまうため、
成猫3匹はデレンデレン。
「こ、こら~やめニャさいぃ~」
「だ、だめニャ~」
「困ったチビニャ~」
「それなら…」
黙って見ていた鳥の方のウミネコが
「私の背中に乗って帰りなさいな」
と言い出しました。
「ホント?」とミィは飛び上がり喜びましたが、
呑丸とチェビィは「え?」という顔をしました。
「ちょっと私達を乗せるのは無理ニャンじゃニャい?」
「大丈夫。さっきの歌を歌ってごらんなさい」
「歌?」
と困惑しているとミィが、
ウミネコネコネコなんのネコ♪
と歌いました。
「これかニャ?」
「そう!それ!みんなで歌ってごらんなさい!」
ウミネコネコネコなんのネコ♪
ウミネコネコネコなんのネコ♪
ウミネコネコネコなんのネコ♪
みんなで声を揃えて歌ったら。
ミィ・呑丸・チェビィ・ヒロキの体が
ズン、ズンズンズン!
あっという間に小さくなりフワンと浮いて
ウミネコの背にポスンと落ちました。
「さあ行くわよ!」
「ミニャ~♪飛んだ飛んだ」
4匹は大喜び。
ウミネコは海の上を軽く一周するという
サービスつきで3匹が住む町まで
送ってくれました。
ポンポンポン♪
地面に降りた瞬間、
呑丸・ミィ・チェビィはいつもの大きさへ。
「また来いニャア~」
とウミネコの背からヒロキがしっぽをフリフリ。
また会えるといいニャアと3匹はウミネコとヒロキにしっぽをフリフリ。
「ミニャア~」
「あらミィ、お外にいたの。おうちに入りなさい。」
ミィのおうちの人です。
「ミィ~ミャアア」
ミィはタタっと飼い主に走り寄りました。
「あの人、私達が空を飛んだって知らニャいのよね」
「ああ。呑気に遊んでると思っているだろうニャ」
ミャア〜っと声を揃えて鳴くと、2匹は風で乱れた体毛を整え合いました。
どんな童話にしよう?
思いっきり楽しめるのがいいな、と思った時。
「umineko創刊号」の応援童話を書いていた!ことを思い出しました。
これぞウミネコ文庫に相応しいお話ではないか、とすぐにこびと図書館の関係者に連絡。快諾していただけたため、絵文字の削除をして投稿しようとしたのですが。
これまた、読み返すほど修正点が出てきます😨
先ほども読み返したらまた修正箇所が出てきました。
何回読んでも修正したくなるので、ここでグッとこらえて提出させていただきます。
童話集!
文庫!!
なんて素敵な響きでしょう✨
素晴らしい企画に思わず力が入ってしまいました。
ウミネコ制作委員会様、素晴らしい企画をありがとうございます😊