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【シロクマ文芸部10月④】判決

シロクマ文芸部の1カ月の全お題を使って一つの物語を作っています。レギュラー部員は月初めにお題を全部教えてもらえるので思いつきました。1回目は20字小説、2回目以降は文字数制限のないお話というスタイルで毎月挑戦中です。

本日は10月4回目のお話となります。

1回目はこちら👇

2回目はこちら👇

3回目はこちら👇

それでは4回目お題「爽やかに」の始まり始まり。

「爽やかにまとめようとしているのになんなんだ!お前たちは!」

人間を連れて来て解決してやろうとしたのにとリビアヤマネコは木の実と葉を𠮟りつけます。耳まで裂けたように見える口から生えた牙は木の実をかみ砕きそうですし、ニョキリと出た爪は葉を切り裂いてしまいそうです。

最初の注意では大人しくなった木の実と葉ですがリビアヤマネコの怒りようにパニック状態となってしまいました。

きゃーコロコロ
きゃーガサガサ

雑木林の中はキンキン声でいっぱいです。しまったと思ったリビアヤマネコは困ったように私を見ます。ここは覚悟を決めないと。

「みなさん!どちらが一番かを知りたいのですよね?」

これ以上は出ないだろうというくらいの大声で木の実と葉に呼びかけました。大騒ぎだった雑木林は途端に静かになります。小さな者達の視線をじっと感じ、一瞬狼狽えましたがグッと耐えました。

「木の実は芽を出し木々を育てます」
「そうだそうだ!だからエライんだ!」

木の実が誇らしげに叫びます。

「葉は次の成長のために落葉します」
「そうだそうだ!だからエライんだ!」

葉も誇らしげに叫びます。

「それならば、どちらかが無くなったらどうなります?」

コノ人間、何ヲ言ッテイルノカワカラナイ

というように木の実と葉が不審そうに見つめてきました。夕焼けは木の実と葉を金色に輝かせるので、まぶしくて目がチカチカします。次の言葉を言おうとするのに木の実と葉の圧が強すぎてモゴモゴしていると、

「木の実がいないと葉は生まれない。葉が落ちないと木の実は生まれない」

とリビアヤマネコが呟きました。キラキラと輝きながらコロコロカサカサ音を立てていた木の実と葉の動きが、それを聞いた途端にピタリと止まります。

「リビアヤマネコさん!その通りです!どちらもなくてはならない存在なのです!」

嬉しくなって私が叫ぶと、

「そ、そうですか?これくらいわかりますよ」

と照れつつも自慢げにヒゲをチョイチョイと撫でました。

「こんな簡単なことに答えられず騒ぐなんて」

ジロリとリビアヤマネコが木の実と葉を睨みつけた時、夕焼けは消え雑木林は薄暗くなり金色の風景は失われ静かになりしました。リビアヤマネコはフゥと安どのため息をつき、

「夜になる前に解決できました。ありがとうございます」

とお礼を言います。その姿は本当にエレガントで見惚れてしまいそうになりました。

「リビアヤマネコさんが正解を言ってくださったおかげです」
「でも、人間ならこれくらい簡単なんですよね?」

などと少しすねたように言うので、

「いや、あれほど立派に発言は人間でもなかなかいません」

とニッコリとしました。

「本当に?」

リビアヤマネコの尻尾がヒョコヒョコと嬉しそうにゆれるので、心の中で可愛いと呟きます。なぜ声に出さないかって?だって、声に出したら彼のプライドが傷ついてしまうじゃないですか。

町屋のイベントと午後用事があったため、投稿が遅れました。

とても楽しかったです。今回が最後ということですが違う形でイベントが開かれそうなので、その時はまた遊びに行きたいです😊職人の技を私はとても尊敬しているのです✨父もオフセット印刷の工場をやっていたので会場にいる間、懐かしくてたまらなかったです。町工場、大好き。町工場が沢山ある下町、大好き。

シロクマ文芸部のお題は毎週木曜日に出され31日がそれにあたります。10月の物語は11月第1日曜に最終回を迎えます。

小牧幸助部長、今週もありがとうございました。

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