【＃毎週ショートショートnote表お題：非情怪談】市川さん

表お題「非情怪談」です。

🧟🧟🧟

人って時に非情にならないと生きていけない時があるじゃないですか。特に心が悲鳴をあげてしまうと待ったなしで非情になれるんです。でもね、その後に必ず後悔が来る、それがわかっているから私、向井さんに声をかけたんですよ。

階段を降りてくる向井さんの顔は必死でした。きっと心愛ちゃんを探しているんだろう、ピンときましたよ。だから思い込みは良くないって声をかけたんですけどねえ。

そうそう。大家さんったら私がさもいないみたいに話していたけど、私、ここにちゃんといますから。失礼なんですよ、あの大家。私が毎日挨拶するのに、いっつも無視して……ちょっとあなた！向井さんの取材に来たんでしょ！私の話を少しは聞きなさいってば……あら？そういえば私、あの女と争って強く押されて頭を打ちつけて……ああ、人間って血が流れても意外と冷静だなって思っていたら、あいつの冷めた笑い声が聞こえて。最後の力を振り絞って立ち上がり女とあいつを後ろから思い切り……

(410字)

まだ創作大賞の余韻が残っているため朝一で「ドシャえもん」のスピンオフを思いつき、書いてしまいました。

今回の主人公、市川さんは「ドシャえもん」を最後まで読むと出てきます。

裏お題「無情会館」はこちら👇