【＃毎週ショートショートnote表お題：文学トリマー】相手に伝えるということ

表お題「文学トリマー」です。

🐶🛠️🐶

ガガガ……ギギギ……。

「ちょっと！これなに？」
「え？トリマーだけど？」

私の戸惑いに戸惑いで返す夢乃。彼女、とてもいい子なんだけど少し外れているというか、夢の中にいるというか。つまり不思議ちゃんなのだ。

「私は文学のトリマーを相談したんだけど」
「だからここにあるじゃない」

手の動きを止め彼女が指し示す場所には木工用電動工具しかない。

「ほら見てて」

彼女は器用に木材を動かしながら「文学」とくり抜かれた木材の縁を綺麗に仕上げていった。

「ね、トリマーって便利でしょ？できたてホヤホヤの文学あげるよ」

にこやかにDIY作品を手渡す彼女。

「ありがとう。でも……私の「文学」ってこれなの」

とリードの先のワンコを見せる。

「……ごめ～ん」

ヒーヒーと笑いながらうちの「文学」を可愛い可愛いとなでる夢乃。なにも知らない「文学」は嬉しそうに尻尾を振っている。

私も夢乃も小説家を目指している。しかし、まだまだ相手の心に伝わる言葉が育っていないようだ。

（410字）

トリマーで検索したら違うものを発見。

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