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【逆噴射小説大賞2024】マム無双
マムがいきなり僕の腕を掴み放り投げた。
「ギャッ!」
「ボーっとしてんな!空魚に食われちまうよ!」
ものすごい怪力でマムはどんどん弟達もぶん投げる。
「ぐっ!」
すぐ下の弟は着地した痛みに顔をゆがめていたが下の子達はキャッキャと笑いながら宙を舞う。
「マム!乱暴だよ!」
痛がる弟を慌てて立ち上がらせて弟達をキャッチ。
「そんなトロいこと言ってられるかい!」
とマムは僕達の上へ覆いかぶさるように飛び込んできた。ダドが戦争に取られているから仕方がないけれど、マムは女手一つで僕らを育てている。体も大きく怪力だけれどもマムだって1人の女性だ。ダドに戦地へ行く前、
「ユキ、マムのことを頼んだよ」
と言われたのだ。長男としてマムを絶対に守ら……
「ユキはまた!空想してんじゃないよ!」
とバシンと頭を叩かれ目から火花が散る。涙目で文句を言おうとしたその時、
「ほおらお出ました!」
と叫び銃をかまえるマム。ストッストストッ!一発一匹で空魚を仕留めるマム。
「キャホーイ!ウマウマ!」
一番下の弟ホウが両手をパチパチさせて喜ぶ。ホウは空魚のすり身が大好物なのだ。すぐ下の弟のトシもトシに抱っこされているショウも大量の空魚ゲットに満面の笑みだ。マムに放り投げられた痛みなんてどこかへ行ってしまった。
「さてさてメインが手に入ったところで次はお野菜を狩りに行くとするかねぇ」
「マム、お野菜なら僕が1人で」
「何言ってんだよ!トロいお前が1人で言ったら頭をかじられちまうだろ!」
ガハハと笑い僕の背中をどやしつけるマム。長男としてマムと弟達を守らなくちゃいけないのに、と頬を膨らませる僕に、
「お前がいてくれるから子連れでも安心して狩りができるのさ」
とほほ笑む。
「お野菜、ウゴウゴ!」
ホウが叫ぶ。栄養満点のお野菜達が歯をガチガチ言わせながら畑から抜け出し始めた。
「お野菜の狩り時だよぅ。お前達、よく見てな」
見事な包丁を両手に持ちマムは……
(792字)
(続く)
フォローしているnoterさん達が参加しているのを見て急に挑戦したくなりました。募集要項の詳細はこちらをお読みください👇
魅力ある書き出しの練習になるなと張り切ってみました。私の作品はつかみがいつも弱いのです💦