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【#シロクマ文芸部7月】②おばあちゃんの意地悪!


1カ月の全お題を使って一つの物語を作るチャレンジをしています。レギュラー部員は月初めにお題を全部教えてもらえるので思いつきました。今日はその2回目。

①はこちら👇

夏は夜が危ないんだ、特に今日は。そう言うおばあちゃんの顔が、あまりに真剣で少し怖くなった。おばあちゃんが夏休みに遊びに来ていいよと手紙をくれたのに。手紙をもらった時のワクワクが一気にしぼんだ気がする。

ジワリと涙が出た。

「今晩だけの辛抱なんだけどねえ」

夏休みは毎年おばあちゃんの家に1人で遊びに行くようになって3年になる。パパやママがいなくても平気だった。おばあちゃんはニコニコとなんでも許してくれるから、1人でも平気だったのに夏祭りに行っちゃいけないなんて。

隣の家のリオちゃんが夏祭りに行こうと誘ってくれたと言えば、お小遣いを渡しながら、

「楽しんできなさい」

と言ってくれると思っていたのに。

「ごめんね。今日の夜だけは夏祭りは行かない方がいいんだよ」

申し訳なさそうに眉毛を八の字にして、おばあちゃんは謝ったが私の涙は止まらない。

「なんで!なんで行っちゃいけないの!去年は行ったじゃない!」
「今日だけ日が悪くてね」
「でも、リオちゃんは行こうって」
「リオちゃんも行かないと思うよ」
「嘘!」

ワンワン泣きながらリオちゃんの家に駆けこむと、リオちゃんもションボリとした顔で出てきた。リオちゃんもママにダメだと言われたらしい。

「みーちゃんのおばあちゃんの言う通りにしなさいって。だから行けない」

うらめしそうに私を見るリオちゃん。お祭りに行けないの、私のせいだと思っちゃったよね。

「おばあちゃんと同じ八の字眉にしたって許さないから!」

その声と共にリオちゃんの家のドアは閉められた。おばあちゃんの手紙に詰まっていたワクワクが一気にしぼんだ。

今年の夏休み、最悪。おばあちゃんの家に帰りたくない……。そう思ったとたん、自然と足が海の方へ向いた。海へ行かなきゃ。海に行こう。まだ夕方だしいいよね。

みーちゃん!そっちはダメと後ろで聞こえた気がしたが振り向かなかった。今はおばあちゃんの顔を見たくなかったのだ。


早く、海に行かなきゃ。誰かに呼ばれるような気がして足がどんどん早くなる。急がないと間に合わない、そう考え走り出した。

「みーちゃん!」

子どもの頃、大人がダメという意味がわからず泣いた経験を思い出してしまいました。

小牧幸助部長、今週もありがとうございました。

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