
【#シロクマ文芸部12月②】北風のくれた勇気
今回は11月からお話が続いています。
🎄🎅🎄
11月①はこちら👇
11月②はこちら👇
11月③はこちら👇
11月④はこちら👇
12月①はこちら👇
今回のお話は👇の物語の裏話となります。
マフラーにぎにぎうれしいな♪
若ギツネになりたてのため、まだまだ心はコギツネのまま。
北風からもらったクリスマスプレゼントのマフラー握りしめて大喜びです。
「サンタさんのプレゼントにするはずだったんだがよぅ」
ちょっと恥ずかしそうな北風。サンタクロースにお願いしてプレゼントを用意したので、自分は顔を出さずにいようと思っていたからです。
「そんなのよくないよ!」
こびとがそう言って北風の背中をトンと押します。
「大切な人には直接、ね?」
かわいらしいこびとの笑顔に勇気づけられ北風は春先に突然去ったことを詫びました。
「戻ってきてくれたからいいよ」
若ギツネはニッコリとします。まだマフラーは握ったままです。
「マフラーってのはよう、首に巻くもんじゃねえのか?」
横を向きながら言う北風は若ギツネがマフラーを身に着ける姿を見たくてたまりません。あ、ごめんねと言いながら若ギツネはマフラーを首に巻きました。
「どう?」
「似合ってる似合ってる!」
嬉しそうにいう北風の横には恋人の雪の女王が立っています。
「早く、その姿をおじいさんとおばあさんに見せに行きなさいよ」
突然、若ギツネが下を向きました。不思議に思う北風と雪の女王。早く理由をいいなさいとやんややんや。
「僕……おじいさんに酷いことをしちゃったんだ」
秋に人を騙しておじいさんの傘を高く売ったことを話す若ギツネの目には涙が今にも溢れそうです。
「その時から会ってないの」
「でも、良かれと思ってしたことだろ?」
北風はオロオロ。その時、雪の女王は若ギツネが後ろ手に手袋を2つ持っているに気がつきました。
「それって……もしかしておじいさんとおばあさんに?」
「うん。真っ当なお金で買ったの」
高く売りつけた傘を謝りながら全て回収し、正しい値段で売ったお金で、若ギツネはおじいさんとおばあさんに手袋を買って上げていたのです。雪の女王が若ギツネに優しく話しかけます。
「もう、おじいさんとおばあさんは許してくれているわよ」
「でもぉ」
モジモジする若ギツネを見て北風はビュン、と息を吹きかけました。
「まだるっこしい奴だな!」
若ギツネはみるみる遠くに飛ばされます。それを北風と雪の女王は追いかけました。
「乱暴すぎよ!」
「だってよう」
若ギツネはおじいさんとおばあさんの家の前にポスンと落ちました。強く吹いた割に北風は優しく落ちるよう配慮したようです。でも、若ギツネはおじいさんの家の前でモジモジ。玄関に手をかけようとしません。
「まだるっこしい子だこと!」
雪の女王が片手を思い切りよく振りました。ドン!若ギツネは玄関にぶつかりました。
「お前こそ乱暴じゃないか」
「だってぇ」
その時です。音に驚いたのでしょう。玄関のドアが開きました。若ギツネはコロコロンと家の中に転がり込みます。家の中からは再開を喜ぶ声が聞こえてきました。
「良かったな」
北風と雪の女王は一仕事を追えたとばかりに帰ろうとすると、おばあさんに声をかけられました。
「これを食べていってくださいな」
おばあさん特製のキンキンに冷えたおしるこです。おじいさんとおばあさん、若ギツネはホカホカのおしるこ、北風と雪の女王はキンキンのおしるこ。家の外は雪で覆われていますが、みんなの心はとても温かでした。
「良かったね、サンタさん」
「ホッホッホー。良かった良かった」
時は大晦日。プレゼントを配り終えたサンタクロースとこびとが空からそっと見守っていました。
(つづく)
去年のお話につながるとは思ってなかったです。
小牧幸助部長、今週もありがとうございました。
来週の日曜日はすまスパの紅白記事合戦のため、シロクマ文芸部は土曜日投稿となります。
コッシー宣伝部長から業務命令があり白組として参加します。
「白」についてはそやmが語るなら、あれしかないですね😆