#毎週ショートショートnoteお題1:決闘年越しそば
「年末の決闘は熱かったな」
「うむ、まさかあの手で来るとはな」
年越しそば同士の闘いがあまりにも熱かったため、正月の三が日も過ぎるというのにまだ大晦日の決闘が話題にのぼる。蕎麦と蕎麦との闘いはそれほどまでに男衆の心をとらえて離さないのだ。
「あの時、暗闇の中から繰り出される蕎麦のコシ!」
「暗闇でアレをやられちゃ勝てないよなぁ」
「あんた達!いい加減年越しそばの話はよしてくれないかい!」
全ての準備を終え、まったりとした正月を楽しんでいたおかみさん達が旦那衆を𠮟りつける。
「正月なんだから去年のことなんて引きずらないの!」
大晦日に決闘年越しそばを見に行くのは男衆だけ。正月の準備で忙しい女衆は時間を作ってまで、決闘なんて物騒なものを見ようとは露ほども思わないのだ。
「だってよう」
「はいはい、ならこのお煮しめとお燗は私達がいただくとするかね」
すまねぇと謝りつつも男衆の心は次の大みそかの決闘年越しそばへと向かっているのであった。
(410字)
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