【#毎週ショートショートnote表お題:放課後ランプ】伝統行事
表お題の「放課後ランプ」をじっと見ているうちに「白線流し」を連想しました。地域や学校に残る伝統行事には惹かれるものがありますよね。
🪔🪔🪔
「放課後ランプの時間です。みなさん、すみやかに灯をつけましょう」
放送委員の声を聞き皆が持参したランプに火を灯す。薄暗くなった校庭に、ポツリポツリと火が灯る。赤い火・青い火・黄金色の火。どれもが違う色なのは、生徒それぞれが違う人格を持つことを表している。
「始まったよ」
「綺麗ですね。お父さん」
学校前で文房具店を営む老夫婦がニッコリと笑う。彼らは毎年、生徒が灯すランプを見るのを楽しみにしていた。ウットリと炎を眺めていると一人の生徒が駆け込んでくる。
「まだ芯は残っていますか?」
「はいこれ」
「あって良かったぁ」
「早く行きなさい。間に合わないよ」
ありがとうございまぁすと慌てて走る男子生徒。
「あの子、いつもギリギリでしたね」
「こんなこともあろうかと予備を多めに仕入れていて良かった」
この町では1年に一度、高校生がランプに火を灯し夢や希望、想いを伝え合う。
「今年も素敵な色が揃いましたね」
「ああ」
穏やかな、とある町の素敵なお話。
(410字)
毎週水曜投稿予定が曜日を間違えて木曜投稿に。最近曜日の感覚があやふやです。
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