【#シロクマ文芸部12月①】北風の悩み
今回は11月からお話が続いています。
🎄🎅🎄
11月①はこちら👇
11月②はこちら👇
11月③はこちら👇
11月④はこちら👇
今週のお題が「北風と」で始まると知った私は去年の北風とコギツネの物語を思い出し、その後を描きたくなりました。
こちらが去年のお話です👇
それでは「北風と」で始まる物語、始まります。
❄️❄️❄️
北風と一緒に働かないとソリを動かすことはできません。サンタクロースは毎年のことではありますが、北風のところに挨拶に行きました。
「いいけどよぉ……ビュビュビュッ」
なんとなく歯切れが悪い北風。
「なにか気になることがあるのかのかね?言ってごらん」
モジモジする北風を優しく促します。
「あのよう、プレゼントって子どもだけなんだよな?」
「毎年そうじゃろう?」
なにを今更とサンタクロースが不思議がると北風はプレゼントを送りたいヤツがいると告白しました。
「キツネなんだがな…」
「キツネ?」
コギツネなら構わないと言うとサンタクロースが言うと北風は泣きべそをかきながら叫びます。
「キツネは人間より成長が早いんだよ!」
北風は去年、一緒に手袋を買いに行った仲良しのコギツネの話をし始めました。コギツネと出会ったことで何倍も楽しかった去年の冬。しかし、春の訪れと共に理由を話す暇もなく分かれてしまい、北風はそれを後悔していたのです。きっとコギツネは自分を恨んでいるだろう……そう話す北風の目にはうっすらと涙が浮かんでいます。
「キツネの成長は早い。今は立派な若ギツネだ。でも、俺にはコギツネのイメージしかなくて。急にいなくなったから傷ついているだろうよ」
だから、少しでも喜ぶことがしたくて……でも無理だよな……こんなわがままと消え入りそうな声で北風は話を終わらせようとしたのですが。
「いいよ」
「ダメだ……え?いいのか?」
あまりに気軽にOKを出されて北風はビックリ。
「おまえさんが子どもと思うならコギツネでいいよ、ホッホッホ」
サンタクロースの笑い声を聞き、北風はみるみるうちに元気を取り戻しました。
「最高のクリスマスにしてやるぜぇ!ビュビュビューン!」
(つづく)
小牧幸助部長、去年のシロクマ文芸部の作品を思い出させるお題を考えてくださり、ありがとうございました。来週もよろしくお願いします。