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エースとカモの良し悪しを考える
前回の記事で、主に出場試合数から各チームのエースとカモを定義しました。それぞれ異なる採点基準を設けてみてはどうかと書きましたが、ちゃんとまとめていなかったので、それについて書きます。
先週の日曜にDF戦略を思いついてから、調子に乗っていろいろ書いてしまいましたが、今月はこのテーマで記事を書くのはこれが最後になると思います。
0.チーム戦略に変更はあったか?(2月5日現在)
前回の記事で各チームの戦略について推測してから、Mリーグで行われたのはわずか2試合ではありますが、現在の選手起用から、改めて残り26試合の戦略予想を書いてみます。
今後の各チームの戦略予想
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ドリブンズ戦線異状あり
■ドリブンズ【ドリブンズ戦略 → DF戦略】
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ドリブンズでは、ここにきて先週2トップの園田賢プロの出場試合数が増え、例年はほぼ同数だった村上淳プロ・鈴木たろうプロと差がついてきました。そこで、残り26試合で上位6チームに大きく差をつけられての最下位という危機(6位のサクラナイツとの差は436.9pt)を脱するために、チームで唯一プラスの園田プロを多用しようとしているのではないかという推測が成り立ちます。つまり、DF戦略です。
あるいは、2018年と2021年同様、大マイナスの村上プロを下げてのダブルエース体制ですね。それにしても、400近いマイナスを叩いた2019年も園田プロは起用され続けているので、ドリブンズのエースはやっぱり園田プロなんですね。
■風林火山【DF戦略】
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風林火山は、先週後半は二階堂姉妹を起用しており、出場試合数は均等に近づきました。しかし、二階堂瑠美プロは、7トップ・3着2回・6ラスの完全なトップラス麻雀であり、今後もコインの表ばかりが出るとはかぎりません。個人スコア3位の勝又健志プロのMVP狙いもあるので、結局はDF戦略っぽい起用数に落ち着くのではないでしょうか。
■ファイトクラブ【雷電戦略】
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■Pirates【雷電戦略】
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好調のファイトクラブ・Piratesは、出場試合数の少なかった選手の起用で均等に近づきました(雷電戦略)。
■フェニックス【ドリブンズ戦略】
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6位サクラナイツ(277.8pt差)の背中を追うフェニックスも、出場試合数がチームの中で最小だった近藤誠一プロの連投で、例年どおりのドリブンズ戦略に近づきました。
■ABEMAS【ドリブンズ戦略 → 雷電戦略】
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ABEMASもいつもと変わらないドリブンズ戦略に見えますが、日向藍子プロの成績がよく、特に4着回避率は2位なので、タイトル獲得の条件である20試合まで試合数を伸ばす可能性があります。つまり、選手の成長による雷電戦略です。
■サクラナイツ【ドリブンズ戦略 → DF戦略】
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サクラナイツは、予選落ちはそれほど心配していないと思います(7位のフェニックスとの差は277.8pt)。しかし、持ち点が半分になるとはいえ、セミファイナルに向けて、いずれも持ち点が3桁プラスの他の5チームと肩を並べるため、チーム内で唯一プラスであるエース・堀慎吾プロの2021ファイナル(12戦中7戦出場2トップ)のような連続起用はあるかもしれません。つまり、ドリブンズと同様に、ドリブンズ戦略から、さらにエースを突出させるDF戦略ですね。
雷電戦略のゆくえ
■雷電【DF戦略 → ファイトクラブ戦略】
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DF戦略に切り替えたのかと注目していた雷電が、先週後半に起用したのは、瀬戸熊直樹プロと萩原聖人プロでした。つまり、セミファイナル到達はほぼ確実(7位のフェニックスとの差は589.2pt)と見て、萩原プロの起用をそれほど減らさない雷電戦略を継続する可能性があります。それでも、MVP狙いで、個人スコアトップの本田朋広プロの起用は増えるはずなので、エースを重視するファイトクラブ戦略に近くなるかもしれません。
なお、過去2回出場したセミファイナルでは、16試合しかないため(今シーズンからは20試合)、さすがに平等主義の雷電もけっこうDFってました(下の表では、3人チームと4人チームでは、出場試合数による色分けを変えています)。黒沢咲プロの出場試合数がチームトップとなったのは、2019セミファイナルからなので、あの西の四暗刻単騎が、黒沢プロのエースとしての地位を不動のものにしたことがわかります。
また、当然ながら、当落線上のチームの方がDF傾向が強くなっていますね。
ほかに、風林火山の松ヶ瀬隆弥プロが2021セミファイナルに2試合しか出場していないのは、新型コロナの影響だったはずなので、今シーズンはすべての選手が万全の状態でプレイできることを祈ってます。
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1.エースポイントとカモポイント
エースとカモの採点基準
前回の記事では、チーム内で起用の多いエースと起用の少ないカモについて、以下のような採点基準を提示していました。
採点基準の異なるこの2種類のポイントを、それぞれ、「エースポイント」「カモポイント」と呼ぶことにします。
エース ◎:プラス150以上 ○:50〜150のプラス △:プラス50〜マイナス50 ×:マイナス50以下
カモ ◎:プラス50以上 ○:プラス50〜マイナス50 △:マイナス50〜マイナス150 ×:マイナス150以下
その他(複数) ◎:プラス100以上 ×:マイナス100以下
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通常のポイントは、プラス方向であれマイナス方向であれ、爆発力を示します。しかし、エースポイント・カモポイントは、「大勝ちすること」が求められるエースと「大負けしないこと」が求められるカモの安定度を示すと考えました。たとえば、ある選手が、1シーズンで1000ポイントマイナスして予選落ちの原因になったとしても、他の年ではプラマイゼロならチームに悪影響は与えないため、総合的に見れば「良カモ」となるからです。
しかし、やってみた結果は、年平均ポイントによる評価とあまり変わりませんでしたね。
4年間の成績からの両ポイントの算出
みんながお世話になっているMリーグ成績速報(非公式)さんが出している、2018〜2021年のレギュラーシーズン4年間の成績から、エースポイントとカモポイントを算出します。
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2.エースポイントによるランキング
エースとカモは、もちろん選手の実力も関係してはいますが、主に起用回数で定義しています。そのため、ドリブンズ戦略や雷電戦略を取っているチームでは、誰がエースなのか明確ではありません。しかし、わかりやすさのために、ここでは各チームでエースとカモは毎年ひとりずつとしています。
エースポイントの方が優先ですが、通常の年平均ポイントも考慮して選手を評価すると、以下の結果となりました。
なお、赤字での評価(×等)は、その選手の所属チームが、その年のレギュラーシーズンで予選落ちしたことを示しています。
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出場試合数の多いエースの不調は、チームの予選落ちに結びつきやすいですね。しかし、エースだけが好調でもうまくいかなかった2020年のPiratesのような例もあります。
3.カモポイントによるランキング
エースと同様に、カモポイント優先で年平均ポイントとともに選手を評価すると、以下の結果となりました。
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安定して大きく負けない選手は良カモと言え、年平均11試合の丸山奏子プロが良カモにとどまっていることは、「カモの試合数をできるだけ少なくする」ドリブンズ戦略の有効性を実証するものです。
その一方、出場試合数が20以上になると、カモは悪カモになりやすいことがわかります。
4.エースとカモから見る最適戦略
2018〜2021年の過去4年間の成績と、以下の基準から、各チームの最適戦略を考えてみました。
良エースはエース重視、悪カモはカモ重視
チーム内の士気とファンからの好感度を下げないように、悪カモ以外は出場試合数を過度に減らさない
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あれこれ考えましたが、毎年ほぼ200pt稼ぐ良エースがいるチームは、何も考えずにファイトクラブしとけばいいんじゃないかというミもフタもない結論になりました。しかし、実際にはそういったチームの多くでは、余裕があるせいか、チーム力を上げるために比較的均等な起用をすることが増えてきました。
各チームについてふれると、風林火山は、エースもカモも2021年のデータしかないので、評価が定まらないところではあります。実際、瑠美プロは現在は3桁のプラスになっています。
現在の雷電は、絶好調の本田プロ(Mリーガー2年目)がエースとなっているので、戦略が変わってきますね。チームが存続し、このまま来年以降も頼れるエースに成長するのか注目です。
フェニックスとドリブンズは、エースの成績が上向かないかぎりはどうしようもありません。実際、ドリブンズは園田プロひとりが好調なので、どんどん起用を増やしていくのではないでしょうか。
以前の記事に書いたように、Mリーグはチーム戦を謳いながらも、結局は個人戦の集積で勝敗が決定します。そのため、戦略をどうこねくり回そうとも、出場している一人ひとりの選手が、目の前の牌をどうさばくかがすべてではあります。しかし、レギュラーシーズンが残り1/3を切った現在、各チームがどういった意図を持って選手を起用していくのか、レギュラーシーズンの決着がつく3月末まで楽しみに見守りたいと思います。