フレッシュ魔法おじさん AROUND☆FYFTY!!――14
陽のあるところに陰があるように。
ホワイト企業が存在する裏に、必ずブラック企業は存在する。
そしてそれは決して対等ではなくーーホワイト企業が一筋の光ならば、ブラック企業は夜の帳が如く世を覆っているのであった。
『何、JKの間で魔法少女がバズっている……?』
「はい、CEO。主にラインを経由して、徐々にツイッターへとバズりが広がっているようです」
アッシュマン・タイムズ・ホールディングス。
それは世界有数の大銀行であり、証券取引業であり、その他多種多様な側面を持つ大企業である。
しかしその実態が、宇宙人の息がかかった悪徳の巣窟と知るものは、社の内外を含めて知るものはごく僅かであった。
『HAPPY影響度はどうなっている?』
「微々たるものです。地球全土に手を広げている我が社が、一介の、街の一つに根を張る程度の魔法少女事業に揺るぐ筈が……」
『希望的推測はよしたまえ』
男の濁った声が、重く響く。
それが作られた声であると、虚仮にした秘書は知っていた。
にも関わらず声が重く響くのは、機械音声特有のエフェクトだけではない。
『必要なのは、絶望的な現実だけだ』
それはあり得ざる程に肥大したエゴイズム。
あまりにも強すぎるそれに畏れをなした宇宙人が、機械の箱に脳髄を埋め、管理を試みた恐るべき“経営怪神”。
人呼んでアッシュマン・タイムズ・ホールディングス チーフエグゼクティブオフィサー。
「はい、ビッグブラザー。全て滞りなく、効率的に」
ビッグブラザー・アタミ。
血も涙もとうに失われた、エゴの怪物である。
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