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朝日杯フューチュリティステークス 2021 回顧

【レース展開】

H(ハイ)前半型 SP持続・瞬発型 46.2-47.3
12.6-10.6-11.1-11.9-12.1-11.9-11.2-12.1

やや流れる展開でのSP持続力勝負。直線手前で少し緩む形になって、そこか直線半ばでの加速と最後1Fの踏ん張りを要求された形。


ドウデュース 1着

【出し切る形・道中スムーズ・位置取り、仕掛け完璧・直線一瞬の加速力生きる・マイルの速い流れを苦にせず】

【中団待機・外】【3角外から動く】【直線入口で外】【直線半ばで外から伸びる】【最後1F伸びきる】【最後1F前を捉える】

発馬五分から中団馬群の外を追走。3角で外目からジワッと進出を開始して4角から直線へ。直線入口で外に持ち出して半ばでようやく追い出しを開始。追われてからスッと加速が効いて伸びを見せ、残り1F地点では先に抜け出したセリフォスに並びかけてからは2頭の激しい争い。残り50m付近でその争いを制して頭一つ抜け出すとそのまま押し切ってゴール。鞍上の武豊騎手はようやくこの朝日杯を制することが出来た。

中団外目の位置から終始スムーズな競馬。直線入口で外に誘導されて、イザ追い出されてからは反応よく加速して最後まで伸びきる形の競馬。心配されたマイルの流れを苦にすることは無かったし、その流れを追走して直線半ばでは反応と加速力を見せるなど心配要素はすべて消し去った内容。まぁ道中の位置取りや勝負所での立ち回り、さらに仕掛けの位置などからしても完璧に乗られた感は強く、鞍上の腕に拠る所も大きかったと思う。

今後に向けてとなると今回マイルの流れに対応出来た意味は大きいが、今回もスピード持続力よりも直線での反応の良さと一瞬の加速力が最大限に効いた形であり、高いレベルのスピード持続力を問われてどうか?という面は見られる。やはり今回のように直線手前で少し緩む形からの再加速戦で良さが出るタイプにも見えるので、本質的には1800m以上の中距離型のような気がする。

セリフォス 2着

【出し切る形?・道中掛かり気味・直線伸びるも・直線末脚不発?・勝ち馬に対して加速と持続力で見劣り・速い流れで末脚削がれる?】

【出負け】【押しけ好位】【中団待機・前】【道中掛かり気味】【4角~直線入口で外】【直線で伸びる】【直線半ばで先頭】【最後1F接戦敗れる・2着】

発馬で若干出遅れ気味になったが押して好位を取りに行くが、逆に前半でやや掛かり気味になってしまう。何とか好位集団の後ろの馬群に入れるものの終始折り合いにやや苦労しているような感じ。4角で徐々に外に持ち出して直線入口で外に持ち出して追い出しを開始。追われてからシッカリと伸びを見せて最後の1F地点で単独先頭に躍り出るも、そこに外から勝ち馬(ドウデュース)が迫って激しい攻防戦。しかし残り50mほどで僅かに交わされるとこれを差し返す余裕はなく2着まで。

直線でそれなりの末脚を見せたとは思うのだが、勝ち馬の方が一枚上だったと見るか、この馬自身の末脚が不発だったと見るかで評価は分かれると思う。直線だけを見れば勝ち馬に対して加速力と持続力で見劣ったという印象は強い。ただ末脚が不発っぽく見えたのは今までスローの流れしか経験しておらず、今回のマイル戦らしい流れで自身の脚が削がれてしまった可能性はあるし、道中掛かり気味になった事が最後の脚に大きく影響しているとも考えられる。また元々瞬発力型のタイプにも見えて、そこまで速い脚を持続させることは出来ないという可能性もある。ちょっと判断の難しい内容になっていると思うが、とりあえずようやく本格的なマイルの流れを経験できたし、その中で(掛かってロスがあったのが原因だとしても)ある程度の加速を見せて2着まで来たこと自体は評価されていいと思う。

ダノンスコーピオン 3着

【出し切る形・4角で包まれ気味も・マイルの速い流れに対応・直線の加速力の差出る・SP持続力は見せるも・完敗】

【好発】【好位追走→中団・内】【3~4角内通す】【4角包まれ気味】【直線序盤ジリ伸び】【直線半ばで伸びる】【最後1Fしぶとく伸びるも】【完敗】

好発からスッと好位につけるものの序盤の流れが速いと見たのか途中で控えるようにして位置取りを下げ、結局は中団の内目という位置を追走。3~4角は中団馬群の中目を回ることになってやや包まれ気味で動けずで、直線も中目から進路を探しつつの追い出しだったが外に出してそれなりの伸びを見せてくる。ただ坂の上り付近で脚色が鈍ったように見えたが、坂のを上り切った残り100mほどで再度前との差を詰めて最終的に3着を確保した。

途中で控える形になって中団からの競馬になったが、これが逆に中団馬群に包まれる要因になったと思う。4角で包まれ気味だったものの、直線では脚色そのものにそこまで目立った伸びは無く、勝負所で包まれたから…という言い訳が出来るようなものでは無い。単純に半ばで加速を問われたところで見劣っているの明らかで、勝ち馬(ドウデュース)のように外からスムーズな加速を得られたとしても最後まで伸び切れたかどうかは微妙だろう。最終的に0.2秒差の3着と言う結果だが、要は最後の1Fまでしぶとく伸びる持続力の差で詰めたという感じ。上位馬に対しては直線半ばで問われた加速力の差がそのまま結果に繋がったと見て良いと思う。ただこのマイルの速い流れへの対応と時計面で進境を見せたのは収穫。


アルナシーム 4着

【出し切る形・出負けもリカバー効く・内々立ち回る・直線鋭い加速見せるも・最後の1Fで持続力欠く・折り合い面課題クリア?】

【出遅れ】【リカバー・中団・後】【3~4角内通す】【直線入口で最内から伸びる】【直線半ば鋭く伸びる】【最後1F脚色鈍る】【G前接戦制す・4着】

大きな出遅れもある程度リカバーが効いて中団後方のインという位置取り。終始中団の内目で待機するような形で3~4角を回ってきて、直線序盤で最内から鋭く伸びて来る。直線序盤から半ばで一気に脚を使って残り1F地点では3.4番手の一角まで迫ったが、残り1Fで脚色が鈍って伸びを欠く形になったがゴール前では大接戦の4着争いを制した。

出負けも比較的早い段階で中団後方のインまで戻せたし、3~4角も内々を立ち回りつつ徐々に位置取りを上げることが出来るなど比較的進路取りに嵌った感はある。直線もポッカリ空いた最内から鋭く伸びを見せたものの、そこまで長く脚を使えないのか最後の1Fで脚色が鈍って…という内容。直線は内外の馬場の差が大きかったはずだが、序盤から半ばでは馬場差を感じさせないほどの鋭い伸びを見せたのが印象的。一見して噛み合い切らなかたようにも見えるが、内々からの立ち回りがと一瞬の加速力を生かす形が嵌り切った内容にも見て取れる。まぁその辺りは次戦改めて見定めたいと思うが、今回はキッチリ折り合いがついてマイルの速い流れにも対応できたという事が最大の収穫だったと思う。

ジオグリフ 5着

【出し切る形・前半の位置取り響く・直線序盤で他馬と接触・直線差し届かず・マイル適性に?・完敗】

【後方待機】【3角で動く】【4角~直線入口で大外】【直線序盤で他馬と接触】【直線半ばで伸びる】【最後1F猛追も】【G前接戦も・5着】【完敗】

発馬五分だが序盤から対してい前に行く構えも見せず控える態勢だったが、前の集団の流れが速く何時の間にか後方2番手という位置。3角過ぎからジワッと進出の構えを見せ、4角から大外を回って進出して直線へ。直線も大外に出して追い出しの態勢にはいったが序盤でドーブネ(11着)が外に寄れてこれに接触して少し外に弾かれる(馬が外に逃避したと言える)。立て直てからはグイグイと加速して前との差を詰めてくるが、いかんせん前との差があり過ぎる。直線半ばでまだ後方4.5番手という位置だったが、最後の1F区間で一気に伸びて差を詰めたが最終的には上位3頭から離れた4着争いに加わるのが精一杯。結果その4着争いにも敗れて5着まで。

結果論としてやはり位置取りが後ろ過ぎ…という感じ。3角過ぎから徐々に差を詰めに掛ってはいるのだが、前半の位置取りが後ろ過ぎてそこまで差を詰められなかったのは響いていると思うし、直線序盤での接触で立て直すロスがあったのも少なからず影響しているはず。しかし贔屓目無しに見ても、鞍上は前半で大して前に行く構えを見せていないし、決して前半で置かれていたという感じはない。これがある程度計算通りの後方待機だったと考えれば、結果的に直線で見せた脚が期待通りでは無かったという感じなのだろう。それでも最後1Fは先に抜け出した馬の脚色が鈍ったという事もあったが、そこでようやくエンジンが掛かって差を詰めて来たが届かずという印象。この形で勝ち馬からは0.5秒差はちょっと差がついた形で完敗の様相だし、直線の伸び始めの遅さなどからもやはり根本的なマイル適性の差が出たような気もする。


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