朝日杯フューチュリティステークス　2023　回顧（簡易版・1～5着馬、人気馬のみ）

【レース展開】

Ｈ（ハイ）前半型　SP持続・瞬発型　46.1-47.7
12.5-10.9-10.7-12.0-12.3-11.9-11.2-12.3

ハイペースのＳＰ持続力勝負の展開で、3角で少し緩んでからの直線の加速勝負。直線半ばで11.2秒と結構な加速を問われる形だった。

ジャンタルマンタル　1着

【決め手】Ｈペースの中で後半要素で違い見せる・4角での押し上げ奏功？

好発から序盤は中団内目で控える形も前半は少し掛かり気味。中盤では落ち着いて3～4角を内々を回る形でジワッと進出して、4角で内から一気に好位内目まで押し上げて直線へ。直線は序盤で内目から馬なりで上がってきて、半ばで仕掛けられるとアッサリと先頭。徐々に外へと誘導されると最後１Ｆでムチが飛んで更にグイっとひと伸びを見せると、そのまま最後まで押し切って優勝。

内枠から好発で良い位置を取れたし、前半の掛かり気味の追走もそこまでは酷くなかった印象。終始内々を立ち回りつつも4角で最内の空いたスペースを衝いて一気に位置を上げたのは大きかったし、直線半ばの加速力で他馬に対して大きく差をつけた内容。前走のデイリー杯も平均ペースのＳＰ持続力勝負の中で加速を引き出す形だったが、今回はハイペースのＳＰ持続力勝負の中で11.2秒の加速を見せて来た。流石に使える脚そのものは短い印象はあるも、この流れの中でここまでの加速を引き出せるのは凄いのひと言。長い距離になってスローの流れの後半勝負となると不安は残るかもしれないが、平均以上で流れる展開で後半要素で違いを作れるのは今後大きな武器になると思う。

【レース関係者コメント】

（川田将雅騎手）
「追い切りで乗ってとてもいい馬だなと思っていましたし、まだ２歳らしく成長する余地もたくさん残している現状でした。道中リズムよく走ってくれたけど、３コーナー過ぎであまりいい形にならなかったので、早めに進路を確保して動いていく道を作りました。少し早めに踏んだ分、馬には少し苦しい競馬になったかと思いますが、しっかりとしのいでくれる雰囲気で、安心して乗っていました。とても性格がよく能力も高く、これから先もっと成長を伴える馬だと思います」

エコロヴァルツ　2着

【決め手】序盤で抑え込んで最後方待機・最後１Ｆバテ差も後半要素見せ

発馬五分で序盤から抑え込む形で後方待機策だが、序盤は折り合い面で苦労する感じ。それでも中盤以降は最後方に下がるも落ち着いての追走で、勝負所で動かずにジッと我慢する形。直線に入ってから直線序盤から半ばで大外に持ち出してから追い出しを開始。最後１Ｆで先行馬が苦しくなったところを大外からグイっと伸び切ってゴール前で3着馬を捉えて2着でゴール。

序盤で折り合いに結構苦労する感じを見せつつも何とか抑え込む形。勝負所も下手に動かずに直線勝負に徹する形で最高の結果に結びつける事に成功したと言える。まあマイルに対応して来たのは評価できるし、最終的に最後１Ｆのバテ差しという感があるも自身の伸び脚そのものには見所があった。ただやはりマイル以上の距離の方が合うという感じは見受けられたし、後半要素で勝負できるタイプだと思う。まあ来年のクラシック戦線に向けての視界そのものは明るいだろう。

【レース関係者コメント】

（武豊騎手）
「惜しかったね。よく走っている。向こう正面で引っ掛かった馬にぶつけられたのがもったいない。途中からはリズム良く走れたし、先につながるレースはできた」

タガノエルピーダ　3着

【決め手】好位追走から直線しぶとく伸びきる・意外と持続力の高さ見せる

好発からスンナリと好位内目追走の形。道中は好位内目でスムーズな追走から、4角で動いて直線入口で中目に誘導して追い出しを開始。ただ追い出されてから少し反応が悪いのか外へモタれていたし、他馬と比較しても伸び脚で違いを作り切れずという感じ。それでも最後の１Ｆでエンジンが掛かったのかグンと伸びを見せ始めたが、ゴール前で外から4着馬（ジューンテイク）と大外から来た2着馬（エコロヴァルツ）との接戦にもつれ込む。しかしゴール前で4着馬の追撃を封じたものの、最後方待機で大外から飛んで来た2着馬の末脚に抗えず3着まで。

流れる展開の中で先行策から、直線は持続力を見せる形の内容。好位追走なので流石に道中脚がシッカリ貯まる感じはなかったのか、直線序盤から半ばで伸びあぐねる感じを見せたものの、最後１Ｆで盛り返すように伸びを見せるなど後半要素の高さは見せた形になる。流れる展開の中でここまでやれるという面を見せた意味は今後に繋がるし、今回は持続力の高さを見せた意味の方が大きいかもしれない。

【レース関係者コメント】

（団野大成騎手）
「馬は精いっぱい頑張ってくれた。まだ２戦目でしたが、いい内容でした。スムーズでしたが、勝ち馬のポジションも取れたと思うので、もっと勝負にいけば良かったかもしれません」

ジューンテイク　4着

【決め手】最後方待機も3～4角での押し上げが奏功・持続力の高さを見せ

出負けから序盤は控える形を見せて最後方からの競馬。それでも3角でジワッと外から位置を上げると、3～4角を外々を回って押し上げて4角では中団前目の外まで位置を上げて直線は大外へ。直線は序盤から半ばでの伸びはさほど目立たなかったが、最後１Ｆをしぶとく伸びきる事で3番手まで浮上。しかしゴール前で大外から来た2着馬（エコロヴァルツ）に交わされ、3着馬（タガノエルピーダ）にも僅かに差し届かずで4着止まり。

最後方から3～4角を外を回って位置を上げるなど、結構ロスのある形でありながら最終的に0.2秒差4着は結構価値がある。3～4角は多少緩む形ではあったのでそこでの押し上げが効いた感じではあるが、それでも外々を回ってのもの。最後までしぶとく伸びて持続力の高さを見せているし、意外な一面を見せる形になったと思う。スローの加速勝負となると話は別だが、平均以上で流れる展開での持続力勝負寄りで出番があっても良さそう。現状では距離的な問題は払拭できていないものの、適性面では皐月賞あたりが面白そうなタイプではある。

【レース関係者コメント】

（M.デムーロ騎手）
「状態は良かったし、とてもいい馬。でも本気で走っていない。スタートは遅かったね。みんなが速かったので、少しずつ上がっていった。外を回ったけど、最後まで頑張っている。距離はもっとあってもいい」

タガノデュード　5着

【決め手】中団後方から直線しぶとく伸びきる・持続力見せるも完敗の感

若干出負け気味で二の足も効かずで中団後方からの競馬。道中は中団後方で構えて、3角過ぎから外々を回ってジワッと進出を開始。4角から直線入口で大外に回して直線へ。直線で追われてからの伸び脚がジリジリで伸びあぐねる感じを見せていたが、最後１Ｆでもしぶとく伸びきる事で最後は5着に浮上してゴール。

後ろからの競馬になったが3～4角で外を回す形ながらも位置を上げたのが効いたと思うし、直線は加速面で違いを作れなかったが一定の持続力を見せる形で掲示板を確保。最後は少しバテ差しの感もあるし、展開的にも少し噛み合った感じは強い。少し力の要る馬場で時計面を問われなかったのも大きいと思えるし、持続力そのものは見せた形になるが、今後に向けてそこまで強調できる要素は見当たらないという感じはある。

【レース関係者コメント】

（古川吉洋騎手）
「マイルはいいですね。スタートは速くなかったけど、自分の競馬に徹した。直線はすごく反応してくれてくれました。これからが楽しみです」

シュトラウス　10着（2人気）

【決め手】出負け、リカバーも掛かってハナへ・直線失速、前半の消耗大
出負けも二の足が効いて中団外目。それでも3角手前で外から一気に押し上げて行って、3角で先頭に躍り出る。そのままレースを引っ張るも3～4角で少し緩めて後続を引き付けつつ直線へ。しかし直線での伸びが無く、半ばでアッサリと後続に捉まってあとはズルズル後退。最終的に0.8秒差の10着敗退。

まあ折り合い面での不安が真面に的中した形。前半で結構脚を使う形になって直線に向いてすぐに余力が無くなっての終戦。大外枠で壁を作れず…という要素はあったかもしれないが、ここ数戦で見せている前半の掛かり癖に今後に向けての大きな課題となるだろう。

【レース関係者コメント】

（T.マーカンド騎手）
「枠ですね。大外では厳しかったです。出遅れたが、掛かっていたわけではなく、リラックスしていた。ヨーイドンの競馬になって負けてしまった」

（武井亮調教師）
「外枠はいいと思っていましたが、前半が速かったですね。最後は気持ちが途切れてしまったようです」