冬の波 誘う流木 ひきとめて
冷え込みを 温めうるか 笑み交わす
われひとり 年末に向け つんのめる
そのネイル まずは気づいて 聖夜だね
手袋を しない意味さえ 測りかね
つま先を 毛布で包み くすぐって
ささくれを 守りに入る 大人たち
まだ残る イルミネーション あの想い
お雑煮の 餅抜き頼む お年頃
失敗が 胸に寒くて 声が出る
七草を 空で唱えて たまごがゆ
初夢は なぜかバスケで 足がつる
鏡餅 蜜柑じゃ少し アンバランス
ただ呷る フォームミルクに 冬日差す
曇りなき 一月四日は 君のもの
たそがれに 手をさしのべて 初もうで
緊張か 寒さか長い 指ふるえ
ああそうか ほぼ水の泡 大晦日
反芻が 反省を生む 大晦日 ありがとうございました 8^₎
さよならに タイムフライズ 背にイルミ
冬はカフェ デート気分で 友を待つ
吐く息の 白さに乗せて 過去にする
左手の 白いコートを 上げて笑み
友だちに 紛れて送る 雪だより
北風を モロ受けて立つ 給水塔
襟巻は 寝違えた首 労って
友の生む カボチャの色に 時空超え
最長の 夜支配する あれやこれ
数学に 突っ伏す師走 午前二時
ハンドルで 冷えた手伸ばし ねだる熱
あてもなく イルミネーション 突っこんで
ヘビのような 皮振り誘う ミカンの夜
笑わせた 数を数えて 冬の星
カフェを出て つかめなかった 赤い指
清濁を 呑んで聖夜に バタフライ
空風に 晒す湿り気 帯びた顔
オーブンに 残る熱へと かざす指
妄想の 架け橋外す クリスマス
教室に ひとりくしゃみを こらえても
鼻歌を 残して冬と 先に行く
トリビアを ラジオでつまむ クリスマス
底冷えを ステップで踏む 皿洗い
寒い朝 私のために 電気ポット
お早めに ネイルに灯す クリスマス
ふくらはぎ 覆う靴下 冬仕様
焼き芋を 分けて優しい 帰り道
映画館 内に感想 十二月
加湿器の 前でビクつく 眼鏡くん
霜月を あっさり呑んで 同い年
真っ赤な葉 机に置いて おみやげと