かつては文士と呼ばれる誰しもがランボオを読んでいた。三大詩人と呼ばれる彼も生前は無名で不遇であった。ランボオは15歳から3年ほどの間に全てを書き尽くし37歳で天逝したのに無駄に生きて何も為していないという小林秀雄の嘆きは、行先見えず36歳で大学院に戻った私の胸を撃つものがあった。
研究者と名乗ることのできる日が来るかどうかはわからなかった。辞めゆく人達も沢山見てきた。ただ自分の内で思考が途絶えることはなかった、辞する術を知らぬ無謀な博徒なだけのようにも思う。ランボオは空気と岩と石炭と鉄を食らうと表現したが、私もこの世界の元素を食して生きているようなものだ。