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「誰……?」 明日香は思わず声を上げた。しかし返事はなく、代わりに足元から淡い光が広がり始めた。光は次第に強くなり、地面に紋様を描き出す。星座のような形をしたその模様は、どこか神秘的で、触れてはいけないような威圧感を放っていた。

冷たい風が頬を打つ。 空を見上げると、無数の星が夜空に散りばめられていた。 しかし、その夜空には異様な光景が広がっていた。星々の一つが異様に輝き、まるで意思を持って他の星を押しのけるように瞬いている。

その時、胸が強く脈打った。 鼓動が早まる。まるで星の光が自分に何かを語りかけているような――そんな不思議な感覚が全身を包む。 「天城 明日香。」 突然、声が聞こえた。澄んだ声だったが、それがどこから聞こえたのか分からない。振り返るが、周囲には誰もいない。

「何だ、あれ……?」 明日香(あすか)は立ち止まり、夜空に目を凝らした。いつもの帰り道。学校の部活帰りで遅くなったが、こんな夜空を見たのは初めてだった。

「暁星国の王」 プロローグ:星渡りの王