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入社3ヶ月で100人と1on1した話
Ubie の橋山です。
2024/7/1 の入社以降、3ヶ月で100人以上と 1on1 をしてきたので、分かったことや感想をまとめてみました。
なぜ、1on1をやったのか?
Ubie はホラクラシーを採用しており、厳密には肩書きはありません。ただし、自分の期待役割は他の企業でいうところの EM や VPoE なので、「広くエンジニアチームを人や組織の面から見れること」です。
この期待役割を満たす上で、人を知らないままで仕事ができるイメージが湧かなかったため、そのきっかけづくりとして、できるだけ多くのメンバーと1on1 を実施しようと考えていました。
運が良かったのは、Ubie には
新入社員は「まずは気軽に会話できる知り合いを増やす」という社内のベストプラクティスがある
特に断りなく勝手に 1on1 (やミーティング)を設定してもよい
という文化があったため、この活動を後押ししてくれました。
誰とやったのか?
もともとはエンジニア全員との 1on1 を考えていました。
しかし、入社前に参加する機会があった全社オフサイトで「あまりにキャッチアップする情報が多すぎて、何も分からない」という状態になったため、エンジニアだけではなく関連するできるだけ多くの人と 1on1 をやろうという考えに至りました。
1on1 を実施した100人の内訳としてはこんな感じです。
60%: プロダクト基盤メンバー(エンジニア、PdM、デザイナーなど)
25%: 他の事業部(ファーマイノベーション、医療機関)のリードメンバー
15%: 全社共通機能(HR、コーポレート等)のリードメンバー
最初に、各事業部をリードするメンバーやHRと会話をして「この人とは話しておいた方が良い」というリストを作り、1on1 の中で数珠繋ぎのような方式で次々に他の人を紹介してもらうという形で広げていきました。
参考: 事業部の紹介
どんなことを話したのか?
自分の場合は「関係の質」の向上を目安として、まずは「自分のことを知ってもらう」「相手のことを知る」ことにフォーカスしました。
具体的なトークテーマは以下です。
Ubie に来る前はどんなことをやっていたのか?
なぜ Ubie に来たのか、Ubie でどんなことを成し遂げたいのか?
Will / Can / Must / Can Not
また、時間が余った場合は、
個人的に、今困っていることと解決の方向性
組織や仕組みなどに感じている課題
についても話しました。
どんなメリットがあったのか?
コミュニケーション効率の改善
日常業務に一番効果があったと感じています。
Ubie ではメンバーのことを「あだ名」で呼んでいるが、顔がぱっと浮かぶようになり、会話のテンポを合わせることができるようになった
メンバーと 1on1 の内容を紐づけて覚えておくことで、誰がどこで何をしているか理解できるようになり、結果として組織全体の人間関係や情報の流れを把握しやすくなった
「一度話した」という実績を元に、急な相談などをしたいときに、Slack 上やオフィスで躊躇なく話しかけられるようになった
自分の期待役割に関係する仕事の集約
普段仕事をする上で必要な情報や仕事が集まってくるようになりました。
自分の期待役割に関わる情報を流してもらう
オンボーディングと言えばとりあえず橋山に相談してみる
エンジニア採用に関わることは橋山をメンションに加える
組織の中で必要な立ち回りができ、業務で成果が出始める
人に関する悩みを引き受けることで、他の人がより得意な自分の仕事に注力できるようになる
組織体制の整理・変更や人材開発に関する仕事を受け持つことで、情報がない場合は橋山に聞けば良いという流れができる
他の人が行っている業務解像度の向上
今までなんとなく聞き流していたキーワードを、当事者から具体的に聞いたり質問をすることで理解を深めることができました。
業務ドメイン(医療、製薬)に関わる専門用語やコンセプトに関わること
各システムのアーキテクチャや歴史的背景、現在の負債、今後の展望
現在実施している様々な施策の導入意図や現在の評価、問題点
自部署が抱えている組織的な課題感の理解
中長期で最も効果が出てくるものがこれです。
現在の組織に関する土地勘(どこに課題がありそうか、誰がその情報を持っていそうか)を身につけておくことで、今後組織全体に影響を与える施策を進めたり、優先順位をつけたりする際の足がかりを得ることができました。
詳細は割愛しますが、以下のような情報を収集できました。
ピープルマネジメンメント上の問題
ホラクラシーを中心とした組織作りをしていたため、マネジメントができる人が育っていない(組織規模の拡大に伴い、マネジメントの重要性が増している)
フィードバックの仕組みはあるものの、報酬に紐づいていないためうまくワークしていない側面がある
ワークマネジメント上の問題
プロダクトチームの生産量の可視化や投資対効果の説明が不十分
チームが持つべきケイパビリティが明確になっておらず、チーミングやアロケーションが最適ではない
組織マネジメント上の問題
短期・足元の話が多くなりがちで、事業戦略や組織戦略の発信や、そこから逆算した組織計画や開発ロードマップが不十分である
独特のカルチャーや社内用語が多く、オンボーディング(特に現場寄り)が不十分である
すでに、改善に動いているものもあれば、今後自分やチームが中心となって解決すべきものも多く、そのための指針を得られたことは自分の自信にもつながりました。
入社後 1on1 を進めるコツ
今回自分がこの記事を書くにあたって感じたことを記録しておきます。
最初に自分のことを赤裸々に書いた自己紹介(8,000字くらい書きました)を用意し、「続きは 1on1 で」と繋げることで、話が盛り上がりました
1on1 の情報は後で振り返りができるように、特定のフォーマットを作って抽出・加工しやすい形(notion DBに登録するなど)で記録を残しておくと振り返りがしやすいです
当たり前ですが、 1on1 をこのペースでやると日中まとまった作業時間がとれなくなるので、仕事が忙しくなる前にやるのがオススメです
最後に
気合いは必要になりますが、「1on1 をたくさんやる」は組織の課題を広く収集したり、自分の期待役割を広く周知する上でとても有効なので、オススメです。Ubie のようなホラクラシーを中心とした外から見ると特殊に見える組織でも有効でしたし、それ以外の組織でも有効だと感じています。
自分が学んだ Ubie 開発組織の具体的な状況や、うまくいっている秘訣、課題感などは別のポストにまとめる予定ですが、Ubie のことを知りたい場合、ぜひカジュアル面談やイベントなどで、お気軽にお声がけいただけると嬉しいです。
今後も、ユビーの応援やご支援、どうぞよろしくお願いします!