『夏女ソニア』(もんたよしのり&大橋純子)について
1983年(昭和58年)夏、コーセー化粧品のCMソングとして発表された『夏女ソニア』。
タイトルの女性名ソニアは、同社が当時展開したブランド、ソニアシリーズに由来するものと思う。
歌うのは、もんたよしのりwith大橋純子。
途切れそうで途切れない、独特のハイトーンなハスキーボイスを振り絞るように歌うもんた。
レーザービームのように直線的に突き抜ける、声量豊かで瑞々しい声の大橋。
タイプの大きく異なる2人に共通する迫力が、この曲に、真夏に飛び交う欲望と生命を与えている。
わずか4分弱、夏の名曲である。
作詞は阿久悠。夏に新しいメイクをして恋を探しに動く女性と、その女性を誘惑しようと巧みに迫るギラギラした男の駆け引きを、短い詞に艶っぽく表現する。
YouTube上には、夏女ソニアのライブ映像と、収録後に肩を並べて歩く満足気な2人の会話が残っている。
この映像の撮影時期は不明だが「またやろう」の約束は少なくとも一度は実現したようだ。
2016年5月、もんたの出身地である神戸のコンサートで2人による夏女ソニアが演奏されている。
神戸のライブから7年後の2023年10月、もんたは還らぬ人となった。大橋はもんたの訃報に接し「ただただ茫然としている」とコメントしているが、この時大橋自身もがんと闘っていた。
もんた逝去の翌月、大橋も永い眠りについた。
今年、2人が旅立って初めての夏が来た。
息も吸いにくいほど暑い夜、ひとりの棲家で夏女ソニアを流してみる。
40年の時を経た2人の歌声が、約4分間、殺風景な部屋に多原色の彩りをもたらす。(零)
参照(2024年8月1日時点)
・コーセーグループ公式サイト
・スポーツ報知2023年10月23日付Web記事
https://hochi.news/articles/20231023-OHT1T51057.html
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