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老いと美容 2

前略

さて、スーパーマーケットのエスカレーターから
転落した叔母の話の続きを……。

まず、高齢の叔母がどのようにエスカレーターで転倒したのか?
監視カメラを確認したスーパーマーケットの
店長さんと警察官が教えてくれた。

叔母は右手で杖をついて上りのエスカレーターに乗ったそうだ。
それだけでもバランスが悪いのに、
なぜか、左手で右側の手すりベルトを持とうとした。
その瞬間、体勢が崩れて転がり落ちたわけだが、
叔母のカラダは落下しようとするが
エスカレーターは上へ向かって動いているため、
転がり落ちては上り、転がり落ちては上りを繰り返していた。
どなたかがエスカレーターの緊急停止ボタンを押してくださるまで。

叔母は首の骨を折っているか頭を強く打ち付けて、
もうダメなのだろうと私は覚悟をした。

しかし、病院の救急入り口へ到着するとパトカーが停車していて、
その後部座席には、叔母と付き添ってくださった医療従事者の方が座っていた。
私に気付いた叔母は大きな声で私に話しかけてきて、
元気そうにも見えた。
頭と耳から血を流していたけれど。

全身をCTで調べていただいたら、
脳内に出血はなく、骨折もしていなかった。
医師は言った。
叔母は驚くほどラッキーだったと。

そもそも、コロナのせいで救急車の数が足りないだけでなく、
ほとんどの病院が救急患者を受け入れられない状態なのだという。
その日は、その病院でも救急患者を何人も断っていて、
叔母はたまたまタイミングが良くて診てもらえたそうだ。

いや、私は思うに、
その病院に勤務している医療従事者が、
偶然、事故現場に通りかかった時点で奇跡が起こったのだ。

叔母はエスカレーターから落ちた記憶がないという。
思い出せるのは、エスカレーターに乗り「落ちたらアカン」と思ったこと。
その次は、誰かが椅子に座らせてくれたこと。
叔母の口は元気でおしゃべりだが、
おでこと後頭部に大きなたんこぶができていて、
頭は擦傷だらけでボコボコ、耳は縫われていた。
時間の経過とともに血液が降りてきて、
おでこからまぶたに青い皮膚が垂れ下がり目が開けられなくなった。
顔は腫れ上がってパンパンだ。

まるで、打たれまくったボクサーかお岩さん。
おばあさんには見えない。

通常であれば、高齢者がこのような状態なら念のため入院をするらしい。
しかし、病床が空いてないため、帰宅して様子を見るように医師から言われた。
吐いたりめまいがしたりと、容態が急変する場合があるので
決してひとりにしないようにとも。

では、そんな状況になったらまたタクシーで戻れば良いのかと尋ねると、
その時は救急車を呼ぶようにとのこと。
そしてもしも、救急車に乗れたとしても、
運良く診ていただいた病院の救急では受け入れ不可能の場合があると言い、
他の病院でも対応してもらえるようにとCTのデータを手渡された。

こんな状況、もう不安でしかない。

完全に医療崩壊していると思った。
もしかして、
救急車に乗せるかどうかの時点で、
トリアージが行われているのか⁈ とも……。

それに元を正せば、
なぜ杖をつかなければならないカラダなのに、
エレベーターを使わなかったのかと、だんだん叔母にも怒りがわいてきた。


はぁ。
今回のことは書き留めて置きたいのだけれど、
また長くなったので続きは近いうちに。


かしこ

otemoyan55

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