銀杏の木という遺産
敷地の銀杏が今年も実りました。とてもありがたいことではあるのですが、実のなる木は実が落ちてくる木でもあります。我が家の銀杏の木は道路脇に生えているので、熟して排泄物のような匂いを発する果肉はすみやかに撤去しなくては通行人の迷惑となります。また、しっかり拾い集めておかないと翌年にあちこちから銀杏の芽が生えてくることになります。
つまり食べる食べないに関わらず収穫はしなければなりません。そして折角集めたわけだからと、一粒づつ果肉を取り除き何度も水洗いしてからザルにあけて乾燥させて、気がつくと食材になっている訳です。
銀杏の実が落ち始めるころから落葉も始まりますが、実があらかた落ちる頃に初霜が降りて、今度は落ち葉が一気に降り注ぎます。これもまた、濡れるとやけに滑るし、落ち葉焚きしても途中で消えてしまうくらい燃えにくい代物でなかなか苦労させられます。
せめて美味しく頂かなくては報われないだろうと思うのですが、ただ、炒って食べるだけならいいのですが、料理しようと思うと殻剥きに時間がかかるので手が出にくいのです。おまけに、料理すると言っても、銀杏ご飯・茶碗蒸し・素揚げくらいしか思いつきません。何かよいレシピがあれば教えていただきたいと思っています。
いっそ伐採してしまいたいと思うものの、巨木になり過ぎている事や、子孫が食べ物に困る事が無いようにと祖父が植えてくれたという話を聞くと、どうしても二の足を踏んでしまいます。そういう訳で、今年も15リットルのバケツに4杯ほど銀杏が積み上げられました。
折角の銀杏を効率よく美味しく頂くには、銀杏ご飯が良いと思っています。銀杏ご飯は色合いを活かす混ぜご飯系と、食感を活かす炊き込みご飯系に分かれるでしょう。何となく銀杏のうまみがご飯に移るような気がするので、私は炊き込みご飯の方が好きです。写真の銀杏ご飯は、昆布出汁に少量の薄口醤油で味付けした炊き込みご飯です。銀杏は米3合に対して40粒入れてあります。
ご先祖様の遺産に振り回されつつも舌つづみを打つ。地域で家系を重ねて行く面白みのひとつではないかなと思っています。