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紙の地図
カーナビもスマホも持ってなかった頃の話。
ひとりで車でお出かけ。週末に知らないまちへ。金曜日の夜発で2泊3日。
どこに行くか?地図の本を広げて日本中を眺める。入り組んだ地形、変わった名前のまち、聞いたことのある名所。そして日本海。
日本海。海岸を歩いていると、ハングル文字が書かれたプラスチック容器を見ることができる。海を渡ってきたんだろうな。それを手に取って、海の向こうを見ていると、その先に暮らす人がいることを想像できる。
きっと、はるかな昔。海の向こうに何があるか分からなかった頃。海岸に漂着した異国の存在を示すモノを拾ったら、その人はドキドキしただろうな。不安と期待とあこがれがないまぜになって。その中の誰かが、丸木舟をつくって海に乗り出したんだろうな。帰ってきたのかな。いや帰らないか。
紙の地図をながめてると想像が広がる。異国の地図だともっとだろうな。
娘がプチ旅行を計画中。昔ぼくが使ってた古い地図の本を渡すと、とても役にたったらしい。
紙面が広くて見やすいだけでなく、紙の地図は触っててもどこか心地いい。紙の柔らかさ、開きやすさ、そして丈夫さ。MacもiPad Proもいいけど、紙と木はやっぱりとてもいい。どんぐりが地面に落ちたときの柔らかい音も。