私の永遠のアイドル〞笠智衆〟
昨日「ぶあいそうな手紙」というブラジル映画を見た。主人公はひとり暮らしのお爺
ちゃんエルネストだ。視力が低下しすぎて新聞も手紙も読めないエルネスト。読めな
いが毎日エルネストの玄関に新聞が配達される。お隣に住む早起きの耳の遠いお爺
ちゃんハビエルが先に新聞を読み、エルネストに新聞を持ってくる。エルネストは不
機嫌そうに「金も払ってないのに先に読むなよ!」と言う。新聞が読めないエルネス
トにハビエルが「読んでやろうか」と言うが、毎日エルネストは断るのだ。週に何回
か家政婦さんがエルネストのアパートにお掃除に来る。本を大切にしているエルネストは絶対書斎の掃除をさせない。
孤独で頑固なお爺ちゃんを淡々と描く前半は私の大好物だ。
お爺ちゃんとは言えないが、映画「おみおくりの作法」のひとり暮らしのジョン・メイも最高だった。ロンドン市の民生係として働くジョンは44歳の地味な独身男。彼の仕事は孤独死した人物の葬儀を行なうこと。事務的に処理することもできるのだ
が、ジョンは誠意をもって1人1人を丁寧に「おみおくり」する。そんなジョンが1人
で質素な食事をとるシーンが忘れられない。
ひとり暮らしの年配の男性の孤独な姿を見ると、私が美味しい食事を作ってあげたい
なあという気持ちになる。もちろん私好みの物静かで誠実そうな太っていない年配の
男性に限定されるが・・・
私の永遠のアイドルは笠智衆だ。笠智衆は孤独で頑固なひとり暮らしが世界一魅力的に見える男だ。