餅つき
子どもの頃年末になると家の庭で餅つきをするのが年中行事だった。薪に火をつけ蒸し器で餅米を蒸す。石うすを水で濡らし蒸した餅米を入れる。家族総出でかわりばんこに杵を持ち餅つきが始まる。一番難しいのが合いの手を入れる役だ。杵を持った3人があ、ぽん、パイと掛け声をかけながら餅をつく。その合間を見計らって合いの手の人が餅をひっくり返す。結構なスピードで餅をつくので合いの手役の手を杵が打ち付けないかとヒヤヒヤする。しかし美味しい餅を作るにはスピードが大切だ。力の強い男達が餅をつく音はパ〜ンと気持ちの良い音がした。時々子どもの私も杵を持ち餅つきに参加したが良い音は出なかった。
餅が出来上がると祖母、母、姉と一緒にまだ湯気が上がっている大きな柔らかい餅をちぎり丸もちを作る。餡を入れてあんこ餅にしたりよもぎやさつま芋を入れてよもぎ餅や芋の餅を作った。出来立ての餅は最高に美味しかった。
今は餅つき行事もなくなり実家の庭は静かだ。帰省して廊下から庭を眺めると今もあの賑やかな餅つきの情景が浮かび笑い声や話し声が聞こえてくるような気がする。