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蟹の呪い

私が育った家の近くに川があった。魚を採ったり石投げしたり思い出がいっぱいの川だ。小学生の頃父が蟹採りを始めた。幅が狭い川に大きな石を並べて蟹が通れないようし一箇所入り口を作り仕掛けの籠を置く。上流から下りてきた蟹はその籠に入る。台風の後はたくさん蟹が採れた。夏は毎日のように蟹を食べた。今思い出しても今まで食べた海の蟹よりも川の蟹の方が美味しかった記憶がある。特に卵を持った雌の蟹は最高に美味しかった。

小学5年生になり時々食後にお腹が痛くなることが多くなった。いろいろ考えみると海老、イカ、蟹、タコを食べた後にお腹が痛くなることが分かった。全部大好きだったので悲しかったが食後のお腹が痛い苦しみを思うと食べることをやめるのは簡単だった。

大人になり結婚し子どもを産んで体質が変わったのか海老、イカ、タコが食べることができるようになった。嬉しかった。ただ蟹アレルギーはまだ治らなかった。

53歳になり海老の天ぷらと間違えて蟹の天ぷらを食べてしまった。しかしお腹は痛くならなかった。ついに蟹アレルギーも治ったみたいだ。子どもの頃蟹をたくさん食べまくった呪いが解けたのかもしれない。しかし今も蟹は出来るだけ食べないようにしている。小学生の頃一生分の蟹を食べた気がするから。

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