私たちはどこに向かうのか。
もっと訴え、もっと考えたい。

中盤戦を迎えた国民民主党代表選挙2023ですが、私たち国民民主党が目指す社会像について、議が尽くされていないと考えます。

「国民民主党を党員・サポーターの外にも浸透させたい」
「真の国民政党にしたい」
と願うからこそ、遠回りかもしれない、青臭いかもしれないが、国家観を言葉にしたいのです。

私たちは、何を重んずるのか。
私たちは、何を目指す集団なのか。

「対決より解決」や「現実的な政治」という相対的な位置や手段を示す言葉や、
エネルギー価格の引き下げや教育無償化などの個別の政策提案だけでなく、
私たちが長期的に目指す社会像を、この折角の機会に広く訴え、あるいは熟議したいと願うのです。

国民民主党青年局会議にて

"虚しい響き" にしないために

給料を上げる。国を守る。
この現実路線は大好きです。
そして、これまで国民民主党が、どれほど真面目に政策を練り上げ、どれほど愚直に政策を訴えてきたか、痛いほど体感しています。

しかし「現実的な政治」「偏らない政治」や「対決より解決」という言葉だけでは、多くの国民が巨大なる現実主義政党の自由民主党との路線の違いを分かることはないでしょう。

「いつか分かってくれる」というのは楽観が過ぎます。
「我々が実現したと言えど虚しく響くだけ」という前原誠司さんの指摘を重く受け止め、
私たちが新しい選択肢であることをはっきりと伝えなければならないと、私は考えます。

そのためには、個別の政策だけでなく、そして政権交代の手法だけでなく、「こんな社会、いいね」「こんな国にしたいね」と思ってもらうことも必要です。

迂遠と思う人もいるでしょう。
しかし、「国民民主党いいよね」ではなく「国民民主党いいよね」と思う人を多くしなければ、大きな政界再編のうねりがあったとき、その波に飲まれることでしょう。

国民民主党青年局会議にて

両候補の理想を問う

これらの問題意識から、8月24日に行われた青年局会議では、問いを両候補者に投げかけました。
その回答は次の通りです。参考資料と併せて掲載します。

— 両候補の5年後、10年後に向けた政策的な野望はなにか。エネルギー価格の値下げや教育の無償化など、いま特に訴えている政策が実現した先、どのようなくにづくりをしたいのか。

玉木雄一郎さん「日本の経済を輝かせたい。平成初頭には、企業の時価総額ランキングのトップを日本企業が占めていて、誇らしかった。このときの勢いを取り戻したい。そのためにも、ひとづくりを重視したい」

前原誠司さん「海洋国家としての強みを生かし、メタンハイドレートなどの天然資源の開発に力を入れたい。戦闘機の自国生産を実現したい。そして、安全保障を米国だけに依存しない国にしたい」


まだ足りない!
熟議はこの代表選で終わらない!

私は、地域自治の充実も、私たちの国家観に重要な視座であると考えます。
経済の輝きを取り戻すこと、広範な安全保障を確保することと並んで、私たちが社会に生きる喜びを求めること、地域において豊かな生活をおくることを強く訴えたならば、バランスの良い国民民主党にふさわしい国家観が誕生するのではないでしょうか。

私たちが理想とする社会像をより明瞭に言葉にし、必要に応じて「綱領」や「理念と政策の方向性」などを見直すべきと考えます。

現状の綱領等も良識的な内容ですが、平成30年(2018年)に旧党で制定したものを引き継ぐものであり、私たちがよく使う言葉から離れている点や、最新の政策との平仄が取れていない点もあります。
なにより、私たちの政策と並んで、胸を張って強く訴えることができる内容にしたいと思います。

観念論の弊に陥ることなく、我々の存在意義は明瞭にしなければなりません。そのためには、熱気の中で議論するより、静謐に熟議することが不可欠ですが、私たち国民民主党ならできるはずです。

つくろう、新しい答え。

参考資料

参考①:橋本幹彦の構想

私自身がどのような構想を持っているか、今後も訴えて参りますが、今後の熟議の資として、Utokaさんからいただいた論評をご紹介します。

参考②:前原誠司さんの言及

地域のことは地域で決める、生活に密着したことは皆さん方が選んだ市長が物事を決め、そのために皆さんが納められた税金が目に見えるところで納得できるかたちで使えるような仕組みをつくっていきたい。

民主党『前原国交相、地域主権の実現を宣言「そのときに大事なのは市政を担う人材」と重要性指摘』平成21年(2009年)10月18日、民主党アーカイブ


参考③:玉木雄一郎さんの言及

地方創生とはまさに歴史と自然をどう生かすかという地方の智恵です。そこに心が宿ってこそ、初めて実現するものなのです。安倍内閣が目論むように、中央から指令が出て過去の政策を焼き直して作られるものでは決してありえないのです。

玉木雄一郎『地方創生は大平元首相の田園都市国家に学べ 民主党の玉木議員、「旧来型政策」を斬る』平成27年(2015年)3月27日、東洋経済オンライン


参考④:他党との差別化

要するに、安倍政権自身が中央集権体制、東京一極集中の限界を自覚し、動き始めているということである。しかし、自民党はいかに中央から利益を分配するか、中央省庁はいかに地方を管理するかという発想から出ることは難しいだろう。しょせん、いかに新しい時代に「現状を対応させるか」という発想を超えられない。今、必要なのは「現状を捨てて新しいものを創り出す」姿勢である。
 そして、それは「何でも反対」の合流野党ではできない。そもそも、彼らもこれまで地方への補助金を獲得することで生き残ってきた。自民党と左派の野党は、55年体制以来「コインの裏表」のような関係だ。自民党政治の本質的な問題は、左派の野党の本質的な問題でもあるので、それを捨て去ることは無理である。

上久保誠人『展望なき野党合流に参加しない玉木新党は、地域主権の「顔」になれるか』 令和2年(2020年)8月25日、ダイヤモンド・オンライン


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